猛牛のささやきBACK NUMBER
尊敬しあう山岡泰輔と山本由伸。
ダブルエースがオリックスを救う!
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/06/17 07:00
2019年、山岡(右)が最高勝率(13勝4敗)、山本が最優秀防御率(1.95)に輝いた。写真は2019年当時
ツイッターはほっこり。野球では。
6月13日のツイッター上で、こんなやりとりがあった。
前日に開幕前最後の登板を終えた山岡が、「あとは待つのみ。」と投稿したのに対し、山本が「練習してください。」と突っ込んだ。そのあとは、
「すみません先輩。僕今日休みなので 寂しいかと思いますが練習頑張ってください」(山岡)
「山岡さんいないからチームの雰囲気いい」(山本)
「やりにく… 明日練習行くのやめよ…笑笑」(山岡)
2人のこんな微笑ましいやりとりを見ると、仲いいな、若いな、とほっこりさせられる。普段はどこにでもいそうな今どきの若者だ。
しかし野球になれば、それぞれに揺るぎない自分を持っているプロフェッショナルだ。2人の考え方ややり方には異なる部分もあるが、互いに尊重しあい、情報交換もする。練習中、2人が話し込んでいるシーンをよく見かける。
お互いを高めあうふたり。
山岡は、「由伸は、プライベートでは弟みたいな感じですけど、野球ではしっかり考えていますし、いろんな練習方法も独自で持っている。ピッチングや野球のことをしっかり話せるのはやっぱり由伸だったりするし、向こうも気づいたことがあれば僕に躊躇なく言ってくれる」と話す。
山本も、「すごくいいアドバイスをくれたり、山岡さんといろんな会話をすることで、気づけることや得られるものがたくさんあって、僕自身の成長にすごくつながっています」と感謝する。
山岡は、知識が豊富で、自分なりの哲学やコンディショニングの方法などを持っており、それを言葉にすることにも長けている。そのため年上年下関係なく、アドバイスを求める選手も多い。
山本も、非常に謙虚で他の選手を立てるが、自分のやり方には絶対の自信を持っている。1年目のオフに筒香嘉智(レイズ)らとともに自主トレを行うようになってから、そこで学んだトレーニングを信じて続けた。
ウエイトトレーニングは行わずに、体の強さや柔軟性、連動性を高めることを重視してきた。ジャベリックスローという、やりの形をした器具を投げるトレーニングもその一環だ。
最初は、「やり投げと投球は違う」と反対する声も聞こえてきたが、山本は信じるやり方を貫き、結果を出すにつれ、そうした声は聞こえなくなった。それどころか今では他チームの選手が山本の練習を真似したり、話を聞きにくるようになった。