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川島永嗣が語ったW杯、五輪、引退。
「人生って思った通りにはいかない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2020/06/18 11:40
川島永嗣がヨーロッパに渡って10年が経つ。それだけの時間を、彼は自力でつかみ取ってきたのだ。
「今の環境が一番挑戦しがいがある」
――プレーに関しては、自分が他より良ければ使われるだろうという感じですか?
「そこまで単純でもないと思います。自分の中での”挑戦“という意味では、こいつ使ってみたいなというのではなく、こいつ使わなかったらおかしいだろっていうくらいに思われないと、今の競争には勝っていけないと思っています。契約はあと1年で、来季はあとがない状況でやらなくてはいけないとは思ってはいます」
――最近見かけた、フランス紙のインタビューが日本語に翻訳された記事では、昨年夏に、日本に帰る可能性があったと書かれていました。
「確かに、可能性はありましたけどね。'18年のW杯後から言っていたことです。それまでとは違って、自分が新しく挑戦できるところだったら国は問わないというスタンスに2018年以降はなっているので。ただまあそういう中でストラスブールから2年のオファーをもらって、自分の中でヨーロッパの最高峰に挑戦したいという気持ちがやっぱりあったし、チャンスがある中で諦める、っていうのは自分の中で違うなと思っています」
――ヨーロッパの最高峰という意味ではヨーロッパリーグは刺激になったのでは?
「長谷部誠のせいで本戦進出がなくなりましたけど(笑)。あいつの審判への猛抗議のおかげで……(プレーオフで対戦し、勝利したフランクフルトは本戦に進んだ)。ELの刺激は、やっぱありましたね。それにELがあれば試合数も多くなるので、試合に出る可能性も増えるのにとは思ってました」
――話を戻すと、やはり'18年のW杯が1つの節目だったのですね?
「そうですね。今考えるとそんなことない(大きな節目ではない)ような気もしますけど、2018年に向かう中では色々な出来事がありました。チームが見つからなかったりとか('15年スタンダール・リエージュを退団後約半年間所属先が決まらなかった)、メスでも3番手でやらなきゃいけなかったりとか('16年8月から2シーズン所属。当初は3番手として契約したが、'17-'18シーズン中に正GKの座を掴んだ)。
本当にエネルギーを使い果たして'18年を迎えたので、W杯後はとにかく自分が心から楽しめる環境でサッカーをしたいなと。チームが見つからないとか、試合に出るチャンスを勝ち取って行かなきゃいけない状況というのは簡単だったわけではないので、それをまた繰り返すのは自分の中でイメージがわかなかったんですよね。でも今また同じことをやってるから、何言ってんだって感じですけど(笑)」
――あれだけ苦しんだのに、また苦しい道を選んでいるようにも見えます。
「でも、今の環境が一番挑戦しがいがあるなとは感じています。というのは、今までもチーム内での競争というのはあったけど、今のチームはキーパーのレベルが高いし。だからそういう意味ではすごく競争しがい、やりがいがあると感じてます」