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川島永嗣が語ったW杯、五輪、引退。
「人生って思った通りにはいかない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2020/06/18 11:40
川島永嗣がヨーロッパに渡って10年が経つ。それだけの時間を、彼は自力でつかみ取ってきたのだ。
オリンピック、本当のところは?
――先ほどの帰国の可能性があると書かれていた記事では、東京五輪を目指しているとも書かれていました。
「コロナの最中どうやってモチベーションを保ってますかって聞かれて。今年の夏には東京で五輪があったりとか、もちろんまたW杯があるし、試合には今出てないけど、何か先々に見据えるものがあるから自分はそれに向かって外出禁止中のトレーニングも頑張れるよ、自分のキャリアも全然終わったとは思ってない、みたいなことを言ったんです。
記事を見てないからわからないけど、他の人からも『オリンピック目指してたんですか』って聞かれましたけどね」
――とはいえ、やっぱチャンスがあれば五輪もと思ってる?
「うーーーーん。どうですかね。あんまり考えてないですかね」
――オーバーエイジの選手の中には東京五輪が目標と公言する選手もいれば、「若手のチャンスを奪うなんて」と言う選手もいますよね。
「ただ僕、コパ(・アメリカ、'19年大会に日本は若手主体のA代表で参加)に行ったじゃないですか。それで若い選手たちとやるのはすごい楽しかったし、自分にとってもすごくいい経験だった、というのはありますけどね。
なんていうんだろう、知っている選手たちが関わっているので五輪代表という存在がすごい遠いわけではなくなったというか。コパで一緒にやったメンバーの動向も追いますしね。どういうプレーしてるのかなーってね」
――A代表でも徐々に若手が増えてきました。
「それが普通かなって思ってますよ。そういう選手たちがもっともっと日本を引っ張っていってほしいという気持ちでいます」
――20歳そこそこの選手たちの気質ってどう感じてます?
「物怖じしないですよね今の子は。僕たちの世代にとって、やっぱり世界って見えないものでした。世界との差とかそういう見えない壁と戦ってた感じがするんです。例えば、欧州とかの強いチームと対戦するそれだけで、まずひとつ感じるハードルがあった。
でも今の若い世代の選手たちはすでに海外に出ているというのもあるし、世代的にもそんなに物怖じする感じじゃなさそうです。もちろん彼らなりに、心の中ではいろいろあると思いますよ。でも、自分たちの世代にはないものを持っているのかなと思いますね」
――お話を聞いていると、次のW杯も視野に入れているのかなと感じます。
「うーん(と大きく呼吸をして)……、1つの目標ではありますよね。次のW杯に向かうことは目標ではある。ただもうさっきも言ったように、今は自分の道を突き詰めたいという気持ちが強くて、結果的に次のW杯に繋がってくれたら、というくらいの気持ちではありますけどね」