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川島永嗣が語ったW杯、五輪、引退。
「人生って思った通りにはいかない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2020/06/18 11:40
川島永嗣がヨーロッパに渡って10年が経つ。それだけの時間を、彼は自力でつかみ取ってきたのだ。
「毎週荒れてますよ(笑)」
――その目標、目的というのはどこに置いていたのですか?
「シーズンがまた始まるんだったら……、って。結局終わっちゃいましたけど、自分が試合に出るためには、逆にこの中断がチャンスだと思っていました。周りがこの中断でコンディションを落とすのであれば、自分が上げておけば、チャンスを掴めるかもしれない。もしくは、来シーズンに向けてもちゃんと追い込んで良い状態を作っとけば、もっと厳しい競争になったときに、自分も勝負にいける、と捉えていました。
だから目標はその2つでしたね。再開すれば再開、来季なら来季で。どっちみち僕は、ポジションを奪っていかなければいけない立場なので」
――一方で、SNSでは、お料理の写真などをポストされていました。この期間の過ごし方を大切にしているのだなと思いました。
「うーん、そうですね。トレーニングもそうですけどいつもと同じことやっても面白くないし、気持ちも落ちちゃうし。っていうのとやっぱり多くの人がそうだったと思いますけど、美味しいものを食べることが唯一の楽しみというか。いろんなものを作って楽しもう、というのはありました」
――さて、中断までの今季の話を聞きたいです。ベンチにもなかなか入れず、やはり厳しかったと捉えていますか?
「やっぱり厳しかったですよ。去年以上に立場が難しくなったし、メンバーにも全然入れてもらえなかったし。まあ、自分が思った通りには何もいかなかったですね」
――その前の'18-'19シーズンも出場はリーグ戦最終節のみ。へんな話、状況を受け入れやすくなっていたりしません?
「全然そんなことなくて、毎週荒れてますよ(笑)。葛藤してます。ただ、この状況を変えられるかどうかはやっぱり自分次第でしかないし。そもそもやっぱり簡単な挑戦ではないということはわかってる。今までで一番序列が決まっている中でやってるので、それを覆すのが難しいのは百も承知だし。ただ、そこに挑戦すると決めたのは自分で、自分が選んだ道だからしょうがないかなと思ってやってます」
――前所属のメスの時も当初は第3GKで若手の模範としての役割を求められました。今、ストラスブールでもそういう役割を求められているのですか?
「今も、それはあると思いますけどね。他の若いキーパーに対してもチームに対しても、模範になる選手と見られてるとは思います。でも、あまりそういうことは気にしてないので。
そのためにいると思ってなくてプレーの面で貢献できなければ意味がないし、ただ模範的な選手でいるための役割だったら僕がやる必要はないと思う。だからチームが自分に何を求めてるかというよりは、自分が、何を求めているかというところにフォーカスして行動してます」