欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
川島永嗣が語ったW杯、五輪、引退。
「人生って思った通りにはいかない」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2020/06/18 11:40
川島永嗣がヨーロッパに渡って10年が経つ。それだけの時間を、彼は自力でつかみ取ってきたのだ。
「自分の中では、'15年に一度終わってるんです」
――では、引退についてはどう考えていますか?
「うーん、どうなんですかね。あんまり、僕、先のことをすごく見据えてやるタイプではないので。引退のことを真剣に考えるかと言われたらそんなに考えてないし。逆にそんなタイミングが来たら来たで、もしかしたらさらっとやめるかもしれない。
自分の中では、選手としては'15年に一度終わってるんです、チームが見つからなかった時に。だからそういう意味では別に終わりに向かっていく切迫感は持ってないし、とにかく自分自身の挑戦というところに今はフォーカスしているという感じですかね」
――川口能活や楢崎正剛といったGKたちは40代前半で引退しました。でも世界を見ればブッフォンはまだまだ現役でいる。日本でもカズさんのような存在もいます。
「そういう比較はあんまりしないんですよね。自分が作れる自分の最高のキャリアを送りたいなと思うけど、それは人との比較ではないかなと」
――あらためて、コロナで不自由だったこの2カ月は特別なものでした?それともやはりダンディーに入団する前の期間のほうが大きいですか?
「辛いという感覚は正直ないですよ。むしろ、最初に言ったように周りがコンディション落としてたらチャンスだと思ってたし。そういう意味では15年とは比べ物にならないですね」
――川島さんならではの、前向きさですね。
「これはあくまでも僕自身の考え方なんですけど、何かが道が閉ざされたりうまくいかなかったら、それはそうなるべきじゃなかったということなんだって考えちゃうタイプです。
コロナでリーグ戦が打ち切りになって、フランスではディジョンの中盤の選手が引退したんですよ。だから、今回のことがキャリアに大きな影響を与えるものだということはわかっていますし、彼にとってはシーズンを最後まで全うして良い形で終われた方が良かったと思います。五輪も1年延期になって、今年五輪があれば、その後に移籍できたかもなんていう選手もたくさんいるはずですよね。
ただ、人生って思った通りになんていかないし、思ったとおりのタイミングで物事は動かないのかなって。引退する直前の人にとっては残念だったのは間違いないけど、まだまだキャリアがある人にしてみたらチャンスなんていくらでもある。で、それを掴むのは自分でしかないので、逆にそういう選手には頑張ってほしいなって思います」