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久保建英の現在地を中西哲生が解説。
譲られたFKが示す絶大な信頼感。
posted2020/06/16 11:50
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
AFLO
ラ・リーガの再開初戦で、久保建英が魅せた。
日本時間の6月14日早朝に行われたマジョルカ対バルセロナ戦で、久保はスタメンに名を連ねた。新型コロナウイルスの感染拡大による中断前を含めると、4試合連続の先発となる。
降格圏の18位に沈むマジョルカは、首位を走るバルサに0-4で敗れた。彼我の実力差が浮き彫りになったなかで、19歳になったばかりの日本人MFははっきりとした存在感を示す。4-4-2の2列目右サイドで起用され、バルサ守備陣に脅威を与えた。
22分にカットインからフィニッシュへ持ち込んだ一撃は、相手GKマルク・アンドレ・テア・シュテゲンの好セーブに阻まれた。32分にはゴール正面やや右からの直接FKを任される。5枚のカベの左端をすり抜けた低い弾道の一撃GKは、テア・シュテゲンの正面を突いたもののキャッチングを許さない威力があった。
マジョルカが散発的に繰り出すアタックは、「TAKE」抜きでは成り立たないものだった。
3カ月以上ぶりの実戦となったバルサ戦で、久保はなぜ現地メディアも絶賛するパフォーマンスを披露できたのか。バルサの下部組織に在籍していた当時から彼を知り、その成長プロセスに間近で接してきた中西哲生氏に聞く。
かつて名古屋グランパスと川崎フロンターレでプレーした同氏は、現在も久保と定期的に連絡を取り合い、技術からメンタルまで幅広く助言をしている。
もはや換えの利かない選手になった。
プレーのクオリティが高まってきており、取り換えの利かない選手になった──。
というのが再開初戦のバルサ戦を観た率直な感想です。
具体的なパフォーマンスへ触れる前に、時計の針を少し巻き戻してみましょう。
昨年8月のシーズン開幕を、久保は控え選手のひとりで迎えました。9月、10月、11月と日本代表やU-22日本代表に招集されながら試合に絡み続け、11月上旬から8試合連続で先発します。
しかし1月中旬に立場が変わり、5試合連続で先発から外れました。