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岡崎慎司がリーグ再開へ思うこと。
「点を獲ってこそ。守りに入らない」 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2020/06/12 18:00

岡崎慎司がリーグ再開へ思うこと。「点を獲ってこそ。守りに入らない」<Number Web> photograph by AFLO

岡崎慎司は迷いながら、確実にその場所その場所での自分の役目を見つけてキャリアを積み重ねてきた。スペインでも自分の居場所を見つけるはずだ.

インスタにアップした、プールの水運び。

 外出禁止令が解除された5月下旬には、練習の再開も決まった。

「今年の夏は子どもたちをプールに連れて行くことは難しいだろうから、自宅用に直径3メートルくらいのプールを買ったんです。スペインは毎日結構暑いので。買った時は水を入れるホースがまだ無かったですけど。『じゃあ、水を運ぼう』と、5リットルのタンクに水を入れて運んだんです」

 その様子がインスタグラムにアップされている。

「今日はオフだけど子供のために働いてます。家のなかから100回は水を運んだ。ひとつ言えることは、ホースを買う必要がある!」

 100回というのは大げさだったかも、と後日笑って話してくれた。

「でも50回以上は確実に運びました(笑)。子どもたちも『無理しなくていいよ』という感じだったんですけど、やりはじめたら結構無心になれた。ゴールが見えないときでも無心でやり続ければ、ゴールに到達できる。そんなことを改めて実感できたので、僕自身は満足しています。もちろん次はホースを使いますけど(笑)」

「次はスペイン、そしてイタリアで」

 昨年夏、岡崎はイングランドプレミアリーグ・レスターから、スペインへ渡った。

 当初は2部リーグのマラガとの契約を前提にチームへ合流したものの、クラブの保有選手の問題などが解決できず、未登録のままリーグ開幕を迎えることになる。そして、移籍マーケットの最終盤に、同じ2部リーグのウエスカと契約を結んだ。

 2011年にドイツブンデスリーガのシュトゥットガルトへ移籍し、マインツを経由して、レスターへ。

「次はスペイン、そしてイタリアでプレーしたい」

 30歳を迎えて移籍のハードルは高くなっているが、岡崎自身の挑戦への意欲は変わらない。環境を変えることで、自身がまだまだ成長できると信じているからだ。

 かつては長く1部リーグに所属していたマラガと違い、ウエスカは小さなクラブだ。選手のほとんどはスペイン人選手で、英語を話せる人間も少ない。岡崎もスペイン語を勉強はしているが、まだまだ拙い。

「プレミアリーグ優勝経験者」「34歳」「日本人選手」

 岡崎に対する周囲のリスペクトや距離感は、岡崎にとってのプライドでもあっただろう。

「スペイン語も話せず、10歳近く年の離れた僕のことを周囲はどんなふうに見ているのか。ゴールを決められず、結果も残せない選手に居場所はない。将来的にはスペイン1部リーグでプレーしたいという目標があるけど、まずは2部で活躍できなければ、契約もなくなるだろうし、1部でプレーもできなくなる」

【次ページ】 チームに溶け込めたと感じた瞬間。

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