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岡崎慎司がリーグ再開へ思うこと。
「点を獲ってこそ。守りに入らない」
posted2020/06/12 18:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、3月8日以降、無期限延期が続いていたスペインリーグが6月11日に再開する。
中断前の4試合で4得点と結果を示していたウエスカの岡崎慎司は、3カ月の空白をどのように捉えているのだろうか。
2月下旬、ひと足先に学校休校やJリーグ中断が決まり、新型コロナウイルスの影響が広まった日本のことを岡崎は「対岸の火事」として見ていたという。
「僕がピッチで活躍することで、日本の人たちに何かを届けたい」と試合に臨み、2試合連続でゴールを決めている。香川真司とともに日本サッカー協会の動画配信「いま、スポーツにできること」という試みに「ダブルシンジ」として参加したのもこの頃だ。
「漫才師みたいに」と普段の岡崎や香川とは印象の異なるハイテンションで始まる動画は、実は何度も撮り直したという。
しかしその直後にスペインにも感染が拡大し、日本以上に厳しい自粛生活を強いられることになった。事実上、外出のほとんどが禁止され、買い物にも1人でしか出かけられない。突然訪れた状況だったが、岡崎の生活にそれほど大きな変化はなかった。
午前中は自宅でトレーニングを行う。ボールを蹴ることはほとんどなく、地道なサーキットトレーニングで、コンディション維持と強化に努めた。
サッカー選手として、家族の一員として。
「ステイホームという自粛生活を送っている日本の人に、僕ができることはなんだろうかと考えた。ピッチで結果を残すことが一番だけど、それができない。ならば、自宅でできるトレーニングメニューを紹介することで、僕と同じサッカーをプレーできない人や身体を動かしたいという人のサポートになるんじゃないかと思った。身体を動かすことは、心にも良い影響があるから」
トレーニング動画をアップし続けたのは、「サッカー選手」としての岡崎慎司がやるべきという強い想いの表れだった。
そして、午後は自宅でオンライン授業を続けるふたりの息子の勉強につき合ったり、遊んだりと時間を過ごし、平時は妻任せだった家事にも取り組んだという。
「サッカー選手ということで、仕事を理由にいろいろと許されてきたことがたくさんあったんだなと思いましたね。家族の一員としてやるべきことがあることを改めて感じられた。家族との時間を持てた自粛期間は、非常に有意義な時間で、毎日結構、忙しく過ごしていたんです」