セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
真夏のセリエA挑む苦労人に直撃。
目標への原動力は憧れのあの選手。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2020/06/13 11:30
「きっとうまくいくから、頼むから、皆、家にいてくれ」カプートの思いは届き、“真夏のセリエA”という形で帰ってくる。
「かなりいけるという予感がある」
――現時点(6月初旬)での心身のコンディションはどうですか?
「俺に限らず選手たちは皆、外出禁止期間中も自宅でコンディションの維持に努めてきたはずだけど、やはり、家でできることには限りがある。グラウンドでの練習と同じというわけにはいかない。2カ月もの間、芝の上でボールを触れなかったのだから、感触をすぐ取り戻すのは難しい。リーグ戦が再開した後には、暑さと付き合いながら3日おきの試合ペースにいち早く慣れることが重要になってくるだろうな」
――再開に向けて、意気込みを。
「残り12試合はどれも簡単にいかないだろう。特にインテルとラツィオと当たる(27節と32節の)アウェー2試合は難しいカードになるだろうな。だが、置かれた条件は皆同じ、ゼロからのスタートだ。うちと当たれば、どこにも楽な試合はさせない。かなりいけるという予感があるんだ。やる気が溢れている。それは俺だけじゃなくてチームメイトたちも周りのスタッフも」
「最後のブレシア戦の後、世界中から反響がきて正直驚いたよ。それだけコロナの脅威に皆、感じるところがあるんだろう。あのメッセージを書いた紙はずっと大事にとっておくつもりだ」
大のビール党、脚光を浴びた昨季。
そもそも僕がカプートに親近感を抱いたのは、エンポリに在籍していた昨シーズン中に地元紙のインタビューで、大のビール党であることを知ったときだ。
ビール好きが高じて、南部プーリア州の出身地に友人たちとクラフトビール醸造所まで作ってしまった。金色の液体と白い泡に目がないが、コロナ禍による宅飲みではイマイチ調子が出ないらしい。
「ビールは仲間と飲むから美味いんだ」とは、苦労人FWの弁だ。
今年8月で33歳になるカプートはキャリアのほとんどが2部暮らし。セリエAのフルシーズンを初めて戦った昨季、まさかの16ゴールをあげて脚光を浴びた。
智将ロベルト・デゼルビに請われてサッスオーロに加入した今季もここまで13得点、イタリア代表監督ロベルト・マンチーニの興味も引くまでになった。