セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
真夏のセリエA挑む苦労人に直撃。
目標への原動力は憧れのあの選手。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2020/06/13 11:30
「きっとうまくいくから、頼むから、皆、家にいてくれ」カプートの思いは届き、“真夏のセリエA”という形で帰ってくる。
家族を楽しませるため、金髪に。
それから数時間後、イタリア全土は政令により全国ロックダウンに突入。首相会見とともに新型コロナウイルスに対するイタリア国民の危機意識を一気に高めたのが、上記のカプートのメッセージだったと言える。
自宅待機が続く間、リーグ戦再開の暁には是非ともカプートへ取材したいと考えていた。ただし、このご時世だから対面でのインタビューはご法度だ。
そこで旧知のクラブ広報氏に連絡を取り、リモート・インタビューを申し込んだところ、「それは面白そうだから、クラブホームページの企画としてやらせてくれ。その代わり質問は受け付けるし、内容は自由に使っていいから」と返事がきたので快諾した。
幾つかの質問案を送ると、外出禁止期間中に家族を楽しませるため、頭をわざと金髪に染めたカプートの自宅映像が返ってきた(以下、サッスオーロの了承を得て引用する)。
「命とは何か、自由とは何か」
――セリエA再開が決まりました。今の心境を教えてください。
「長い中断期間だった。新しい日程が決まって、長いトンネルの向こうにようやく小さな明かりが見えた気分だよ」
――外出禁止期間やスポーツ活動制限時期をどう過ごしましたか? その間、最も考えたことは何ですか?
「外出禁止生活の間、一番ショックだったのは(コロナ感染症による)遺体を入れた棺を軍のトラックがたくさん運び出しているTVニュースを見たときだ。あれを見て、自分たちの世界が今とんでもない事態になっていると嫌でも分からされたよ。この悲劇を子供たちにうまく説明できないことも辛かった」
「家族と一緒に過ごしながら、料理やお菓子作りに挑戦してみたよ。そして命とは何か、自由とは何か。家族愛とか犠牲という言葉の意味とか、いろいろなことを考えさせられた」