ラグビーPRESSBACK NUMBER
サンウルブズが終わってしまった……。
公式カメラマンが見た不撓不屈の姿。
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2020/06/10 20:00
サンウルブズ最多のキャップ数43を誇る“バズ”こと浅原拓真。最も叩きのめされた男も、この知らせを寂しがった。
サンウルブズを見られないなんて。
そのスーパーラグビーでの5季にわたった戦いは、先週の月曜日で本当に終わってしまった。
サンウルブズを統括するジャパンエスアールの活動は今後すべてが未定だそうだが、選手を抱えることもなく、どのリーグにも参加する予定のないチームは、ほぼ存在しないに等しい。
だから当面の間、サンウルブズはこの現実世界から霧のように姿を消してしまうことになる。
寂しいなあ、と思うし、もったいないなあ、とも思う。
あれだけ負け続けていたにもかかわらず、本拠地の秩父宮はいつもサンウルブズを応援する人たちで賑わっていた。秩父宮を包んでいたあの賑やかな空気は、オーストラリアやニュージーランド、あるいは南アフリカの他の会場と比べても、遜色ない、というかむしろより華やかだった。誰もが楽しそうにラグビーを見ていた。誰もが嬉しそうに世界最高峰のラグビーの凄まじさを実感していた。
もう、あのサンウルブズを見られないなんて。
ニュースを目にした数日後、僕は久しぶりに浅原拓真に電話をしてみた。
「選手としてもサンウルブズって、本当に楽しかったんですよ。トランジットでは仲間同士で全部荷物を運んで、行ったことのない街に行って、今までテレビでしか見たことがないような選手たちと試合する。そういうのが全部むちゃくちゃ楽しかったんです。
僕が初めて対戦したのは南アフリカのストーマーズだったんですけど、試合が始まって相手とぶつかって、すぐわかりましたもんね。これはヤバイだろ! 強いなんてもんじゃねえだろ! って。だから、サンウルブズがなくなるなんて、やっぱり寂しいっすよね」