ラグビーPRESSBACK NUMBER
サンウルブズが終わってしまった……。
公式カメラマンが見た不撓不屈の姿。
posted2020/06/10 20:00
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
先週の月曜日だった。
そのニュースは午前中にごく控えめな形で配信され、午後には何百、何千という有意義なニュースとくだらないニュースの間に紛れて、もうすでに過去のものになりつつあった。
「サンウルブズ スーパーラグビー5季にわたる戦い終了」
今年3月14日のクルセイダーズ戦以降、新型コロナウイルスの影響で今シーズンのスーパーラグビーは中断。サンウルブズは7月上旬から行なわれるスーパーラグビーのオーストラリア国内大会への参加を目指していたが、渡航禁止措置あるいは到着後の2週間にわたる隔離措置がとられることを考慮すると、断念せざるを得なくなった。
記事の最後には2人のコメントが添えられていた。
サンウルブズの最高責任者である渡瀬裕司CEOは、サンウルブズの最後のシーズンがこういう形で終わったことを残念がり、同時に世界最高峰のラグビーに参加できたことの誇らしさを語っていた。
ラグビー協会の森重隆会長は、サンウルブズの5年間の軌跡は決して消えるものではなく、昨年のW杯におけるジャパンの活躍はサンウルブズが導いたものだ、という内容のコメントを残した。
サンウルブズ終了に驚きはしなかった。
サンウルブズがスーパーラグビーから除外されることは、すでに1年以上前の2019年3月22日に発表されていた。だから「サンウルブズ終了」の記事をニュースサイトのヘッドラインに見つけた時、特に驚きはしなかった。
昨年3月当時の記事によれば、まずサンウルブズの契約は2020年までであったこと、もし引き続きの参加を希望するならばそれによって生じる放映権料収入の減少分(10億円と言われた)をサンウルブズが負担すること、そして現実問題としてそれだけの大金を支払う余裕は日本ラグビー協会にもサンウルブズにもない、よって残念ながらサンウルブズはスーパーラグビー参戦を諦めざるを得ない、とのことだった。
W杯を約半年後に控え、サンウルブズ除外のニュースに大勢のラグビーファンが失望した。しかし同時に、極東の国が南半球のプロラグビーリーグに参加することには、選手調達、移動距離、時間、コストなどの様々な難題が付きまとうことも事実だった。
そして何よりも、今から1年と数カ月前、つまりまだ2019年ラグビーW杯を経験する前の日本という国において、ラグビーが意味するものは今とまったく異なっていた。
まあ仕方ないじゃん。別に阪神タイガースや浦和レッズが消えて無くなるわけじゃないし、所詮は日本代表の強化のために作ったラグビーのクラブなんだろ。しかも半分くらいは外国人だし――。