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オリックス紅白戦でコロナ対策徹底。
2カ月ぶりの実戦を終えた選手の声。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/05/28 20:00
5月26日には医療、介護従事者への感謝と敬意を込めて拍手を送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」を行った。
吉田正尚「慣れていくしかない」
26日の試合に先発して2イニングを投げた山岡泰輔は、今季のルールを取り入れた実戦の感想をこう語った。
「ホームランとかを打った時に、ベンチ前にみんなが出ないというのはちょっといつもと違うというか、寂しいなという感じはします。距離を取らないといけないとなると、話す機会も減ると思うので、そのへんもちょっと寂しいですね」
同じく26日の試合に先発した山本由伸は、「自然とハイタッチをしに行ってしまって、『あ、ダメなんだな』と。ほんとに当たり前だったことができなくなるので、そこを意識しないといけないのが、まあ大変ではないですけど、変な感じはします」と苦笑した。
選手たちがベンチで素直な喜びをぶつけ合うシーンが減ってしまうのは残念だが、感染の可能性を排除するために必要ならばやむを得ない。
吉田正尚は、「違和感はありますけど、いろいろとルールは決まってきているので、それに従って、まずは開幕できるということを目標に、慣れていくしかないなと思います」と前を向く。
西村監督も指摘したゲーム勘の欠如。
長い自主練習の期間を経ての約2カ月ぶりの実戦であらわになったのは、ゲーム勘の欠如だった。特に野手だ。紅白戦初日の25日は、現時点での一軍選手対二軍選手の対戦だったが、一軍が2安打無得点(6イニング)に抑えられた。
西村監督は、「しばらく自主練というかたちでやっていたので、ゲーム勘を早く取り戻してもらうことが必要。野手であれば、打席でのピッチャーに対する目慣らし。少し時間が必要かなと思いますが、そうは言っても、もう開幕まで1カ月を切っているわけなので、状態を早く上げていってもらわないと。ピッチャーもバッターも、1球1球がすごく大事になる。しっかり集中してやっていかなければいけない」と危機感をにじませた。
投手陣にも多かれ少なかれズレは生じている。
山岡は、「ゲーム勘はやっぱりなくなっていると思います。バッターが立つとどうしても力みとかが出てきて、ちょっと体のどこかが遅れたりする。バッターを立たせたり、マウンドで投げる機会を多くしていきたい」と語った。
3日間紅白戦を続ける中で、打者がしっかりと捉えた打球が徐々に増え、目に見えて実戦感覚は戻ってきているが、6月2日から始まる練習試合の中で、開幕に向けてさらに詰めていく。