猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス紅白戦でコロナ対策徹底。
2カ月ぶりの実戦を終えた選手の声。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/05/28 20:00
5月26日には医療、介護従事者への感謝と敬意を込めて拍手を送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」を行った。
トレーナーが期待する選手の自立。
とはいえ、自主練習の期間は、マイナス面ばかりでもないようだ。
昨年まで阪神で4年間トレーナーを務め、今シーズン、コンディショニンググループ長として5年ぶりにオリックスに復帰した本屋敷俊介氏は、「自分で自分の体をいかに整えるかという意味では、いい期間になったかもしれない」と話す。
「日本は、『トレーナーにマッサージをしてもらわないと野球ができない』と思っている選手が多いと感じます。日本のプロ野球がそうやってきたからというのはあるんですが」
自主練習の期間は、トレーナーと選手の接触も制限されたため、選手は自分の体を自分でケアしなければならなかった。体の変化に耳を傾け、どのように自分でコンディションを整えるか。それを実行できる選手がこの機会に増えてくれれば、と本屋敷氏は期待する。
その点で優れている選手は? と聞くと、本屋敷氏は、阪神時代にプロ野球歴代2位の1939試合連続出場を記録し、今年ロッテに入団した鳥谷敬の名前を挙げた。
「『トレーナーの世話になんかなるもんか』という選手。それであれだけ試合に出続けたんですから……。僕がどんな選手を育てたいかと言ったら、鳥谷みたいな選手です」と本屋敷氏は言う。
高いレベルで自立した選手が増えれば増えるほど、チームは強くなるはずだ。
自分と向き合い続けた時間の中で、どれだけ1人1人がセルフコントロールの力を高められたか。そのあたりも今シーズンのカギになるかもしれない。