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西武に芽生える明確な競争意識。
三軍制導入は常勝軍団への序章。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2020/05/28 11:50
三軍統括コーチを務める田邊徳雄は、栗山巧や中村剛也を一軍に送り込んだ手腕の持ち主。西武では4年ぶりの現場復帰となる(写真は2016年監督時代)
成果が見え始めた“2m”右腕。
すでに成果が見えている投手もいる。入団2年目を迎える大窪士夢(おおくぼ・じゆ)だ。大窪は身長198㎝の大型投手。背番号126を付ける育成選手である。
「大窪は2m近い大きな体を使いこなせていませんでした。まずは自分の体を使いこなせる筋力をつけようと昨年の秋から取り組んで、それまではストレートの球速が140kmに満たなかったのですが、今では140km以上を投げられるようになりました。身近な目標をまずはこの半年でクリアできました。140km以上を投げられるようになったら、次はまた新たな課題が見えます。今度は技術も磨いていこうと話をしているところです」
大窪以外の選手についても、コロナ禍でなかなか思うような練習はできなかったが「自主練習中もラインで動画を送ってもらった」と、選手とのコミュニケーションはしっかりと取れている。
「もちろん今まで個人で練習をしてきたので、キャンプ時ほど動けていないけれど、選手はそれぞれ自分に何が足りないか気づいています。これから少しずつ状態を上げていければいいなと思っています」(青木コーチ)
6月19日の開幕が決まり、各チームとも全体練習がスタートした。いよいよ三軍の活動も本格的にスタートする。
「長い目で見て、ライオンズの三軍というのはこういうものだという基礎を作っていきたい」(田邊コーチ)
「自分が現役のときに『やっておけばよかったな』思うことを今、選手に求めています。自分と同じ思いはしてほしくない」(青木コーチ)
ここから大きく育った選手が、一軍のグラウンドにはばたく日を楽しみに待ちたい。