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浅野拓磨が語る中断とW杯と逆襲。
「日本中から、終わったと思われた」 

text by

了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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posted2020/05/30 09:00

浅野拓磨が語る中断とW杯と逆襲。「日本中から、終わったと思われた」<Number Web> photograph by AFLO

「浅野拓磨は終わった」という声があることも、本人は承知している。それでも浅野は、自分なりのサッカーとの向き合い方を模索しつづけている。

「落ちた、終わった」と思われた。

――ドイツ、セルビアと移籍する中で得た感覚なんですね。

「僕はセルビアに行くって決断するときに、日本中の人から、ああ浅野が落ちるところまで落ちた、終わったと思われるって感じたんですよ。セルビアに行くんだったら一度日本に帰った方がいいのかも、という葛藤もありました。

 だけど、セルビアに来てデビュー戦(EL3次予選イェニ・マラティヤスポル戦)で点をとって、EL本戦で点を取って(AZ戦、アスタナ戦)、マンチェスター・ユナイテッドと試合して、また代表にも選ばれた。(欧州5大リーグなどではない)セルビアからでも結果次第で代表に入れるんだと、周囲からの見方は変わったと思うんです」

――「落ちたって思われるかも」という感覚は、浅野選手の欧州でのスタートが名門アーセナルだったことと関係してます?

「そうですね、それは絶対あったと思います。簡単に言ったらプライドっすよね。僕も日本にいる時に直接ベオグラードから声がかかったら『セルビア行きます!』って普通に最初からこたえられていた可能性がある。最初にアーセナルで4年という契約があって、その中で3シーズンドイツで過ごして残り1シーズンどうするかというときのベオグラードだったので。プライド、だったんでしょうね」

マンUに負けた「単に悔しい試合」。

――ここまでで印象に残ってるのは、どの試合ですか?

「衝撃というか印象に残ってるのはベオグラードきての1試合目ですかね。ELに行くための予選。ベオグラードのスタジアムは滅多に満員にならないので、来て観戦した1試合目はがらがらで、見ててもめちゃくちゃプレースピード遅いなと感じてました。それなのに僕が出た試合(イェニ・マラティヤスポル戦)は雰囲気ががらっと変わって熱狂的で。後半からの出場で、1本目のシュートは外しましたが、2本目でちゃんと決めることができて。あれくらいですかね。

 マンUとやった試合は単に悔しい試合として残ってる。ホームでやった試合は手応えはありながらも結果につなげることができなくて(0-1で惜敗)、それを踏まえたはずのアウェイでは、全くなにもできなかった(0-3で敗戦)。そこでサッカーっていうのはほんまに難しいなと、また感じたんですけどね」

――レッドスターとのベオグラードダービーはいかがです?

「ダービーはすごい雰囲気ですけれど、他と変わらない1試合です。ただ、アウェイのダービーの時は(3月1日、結果は0-0)、僕が満員で試合するのが久しぶりで。結構緊張するタイプなんですけど、あの試合はそういう試合でしたね。ここにきて、また体が動かなくなるかっていう」

――年齢を重ねても緊張ってするんですね。

「もう、緊張しましたねえ。でも日本にいるときからそうなんです僕。ただ、珍しいと思います、緊張して体が動かなくなるのは。あんまり他の選手に聞いてもいないんですよね」

――パフォーマンスには影響します?

「それも面白いのが、別にそういう状況でも点取ってる試合、ヒーローになってる試合はあるんですよ。逆に、体の感覚はよくても結果を残せなくて、全然だめ、消えてたっていう試合もあるんです」

【次ページ】 明確な目標はW杯。

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