フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サッカーの偉大な記録を打ち立てた、
女子クラブ・コリンチャンスの奇跡。
posted2020/05/30 11:30
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph by
Facebook SC Corinthians Paulista
長い間、引き分けを含まない公式戦連勝記録は、ヨハン・クライフを擁したアヤックス・アムステルダムが1972年に成し遂げた26連勝だった。その伝説のチームの大記録を44年ぶりに書き換えたのがウェールズのザ・ニューセインツで、27連勝を達成したのは2016年12月のことであった。
さらに昨年9月、新たな記録が打ち立てられる。
それもブラジルの女子チームによって。
コリンチャンスが樹立した34連勝(その中にはフェロビアリアを2対0で破ったコパ・リベルタドーレス決勝も含まれる)は、南米女子サッカーの新たな時代の幕開けを告げるものでもあった。
1997年に創設されたコリンチャンス女子チームは、成績不振と財政難で11年後の2008年に一度は活動を停止している。その後、グレミオ・オサスコ・オウダックス(サンパウロ州のサッカークラブ。以下オウダックス)との提携という形で2016年に活動を再開するが、当初はもっぱら資金援助のみに留まっていた。その後、練習場を提供したり試合日程を組むなど実質的な活動をオウダックスが行っていた。両者が袂を分かった2018年から再びコリンチャンスとしての活動が本格化するが、それからわずか2年で、どうしてここまで到達できたのか。エリック・フロジオ記者が、『フランス・フットボール』誌3月3日発売号でその秘密を解き明かしている。
監修:田村修一
偉大な記録を打ち立てた“コリンチャンス・マシン”。
ギネスブックにまだ正式に承認されたわけではない。だが、遅かれ早かれそれが世界記録として認められるのは間違いない。
コリンチャンス女子チームは、2019年3月26日から9月18日にかけて公式戦34連勝という偉業を成し遂げた。FIFAはその快挙を、《完ぺきなマシン》という言葉でツイッターで称賛した。
フェロビアリアとのブラジル選手権決勝が2引き分け(1対1と0対0)に終わり、快進撃もまた終わりを告げるが、PK戦によりブラジルチャンピオンのタイトルを失った後も無敗記録は継続した。次の週末の試合でサンパウロFCに2対0と敗れるまで、コリンチャンスはその記録を48に伸ばしたのだった。
「素晴らしい記録だと思う」と、ブラジル女子代表のミッドフィールダーで2015~18年にはパリ・サンジェルマンに所属したエリカ(33歳)は語る。
「ただ、それだけを目標にここまで来たわけじゃない。《マシン・コリンシアナ=コリンチャンス・マシン》について語るのはファンやメディアに任せて、私たちはひとつひとつの試合に勝つことだけに集中してここまで来た」