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イ・ボミにとって忘れられない春。
賞金女王までの葛藤と父の存在。

posted2020/05/21 18:00

 
イ・ボミにとって忘れられない春。賞金女王までの葛藤と父の存在。<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/Getty Images

2015年「ほけんの窓口レディース」で優勝したイ・ボミ。この勝利をきっかけに、この年に初の賞金女王に輝いた。

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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Atsushi Tomura/Getty Images

 今からちょうど5年前の出来事をイ・ボミは鮮明に記憶していた。

「それにしてもあれからもう5年も経ったなんて、本当に早いですよね(笑)。もちろん当時の出来事は忘れません」

 現在韓国にいるイ・ボミは、電話越しに懐かしそうに昔を思い出して笑っていた。

 2015年は、彼女が日本ツアーに参戦してから初めて賞金女王になったシーズン。悲願でもあった“マネークイーン”の称号を手にするきっかけをつかんだのが、5月の「ほけんの窓口レディース」だった。

 初日から上位に位置したイ・ボミは、最終日に「66」を叩き出し、2位に4打差をつける圧勝だった。前回大会に続く2連覇。その前に出場した「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」、「ヤマハレディースオープン葛城」、「KKT杯バンテリンレディスオープン」、「フジサンケイレディスクラシック」では4試合連続で2位。なかなか勝てない状態が続いていたからこそ、この優勝の喜びはひとしおだった。

亡き父に捧げた優勝をきっかけに。

 それにイ・ボミが何よりも忘れられないのは、前年の9月に父のイ・ソクチュさんを亡くしてからの初優勝だったことだ。18番グリーンで母のファジャさんと抱き合い、大粒の涙を流すシーンは多くの人たちの胸を打った。父を亡くしたあと、憔悴しきっていた姿を見ていただけに、この優勝で様々な思いが吹っ切れたに違いなかった。

 この優勝を皮切りに、その後も勝利を重ねたイ・ボミは、年間7勝をマーク。獲得賞金は2億3049万7057円で、男女通じて日本ツアー歴代最高獲得賞金額を記録するという偉業を成し遂げて、賞金女王のタイトルを手にしたのだった。

 愛称の“スマイルキャンディ”、ゴルフ場では「ボミちゃん!」と呼ぶ声があちこちで聞こえるほど、人気は急上昇し、年始のバラエティ番組に出たことで、知名度は一気に高まった。『冬のソナタ』の“ヨン様”(ペ・ヨンジュン)以来のブレイクで、「日本人に一番愛される韓国人」とも言われたほどだ。

 この翌年も日本女子ゴルフツアーの賞金女王に立つ姿も見てきたが、だからといって偉そうになったり、天狗になったりはしない。謙虚な姿勢で、今でも友達のように接してくれている。とてもありがたいことだ。

【次ページ】 開幕した韓国ツアーに参戦。

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