話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「スーパーサッカー」元Pが語る。
終了危機、ライバル、YouTube。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTBS Television
posted2020/05/24 20:00
テレビ業界において、1つの仕事を30年近く続けられることは稀だ。名鏡康夫氏はサッカー漬けの生活に感謝しているという。
サッカー漬けで終えたテレビマン人生。
名鏡氏は2年前、TBSを定年退職した。1993年の「速報Jリーグ」から「スーパーサッカー」に携わり、以降25年間、サッカー一筋のテレビマン人生だった。
――25年間、サッカー一筋というのはテレビ局員としては大変珍しいですね。
「本当に幸せでしたね。34歳の時にJリーグの番組を始めて、まさかサッカーに携わったまま定年退職をするとは思わなかったです。普通は、他部署への異動が当たり前にあるし、スポーツ内でも野球とか違うスポーツに行くんですけど、僕だけですよ、ずっとサッカーだったのは(笑)。
他に行くところがなかったからかもしれないですけど、会社が許してくれてありがたかったですし、それはちょっと僕の誇りにもなりました」
――今、外から観るスーパーサッカーの感想はどうでしょうか。
「すごくおもしろい。先日もワンタッチゴールで歴代1位は誰かという企画をやっていたんです。今までのVTRを全部見て、手間を惜しまず、ファンが楽しめて専門家も納得するような企画だったんですが、『すごくいいよ』ってプロデューサーにメールを送りました。手間をかけてもおもしろいものを作ろうという『スパサカイズム』を継承してくれているので、僕はすごくうれしかったですね」
アーカイブこそが番組の財産。
――今後、スーパーサッカーに望むことは何かありますか。
「僕は、絶やさないでほしいなと思います(笑)。どんな形でもいいから続けてほしいですね。この番組の財産はアーカイブだと思うんですよ。27年間やってきて、貴重な映像がたくさんあります。
これから何十年か経った時、あの監督は選手の頃、こんなこと言っていたし、こんな選手だったんだよって、そういうのがやれるじゃないですか。それができるのって、『スーパーサッカー』だけだと思うんですよ。『継続は力なり』といいますけど、僕らが残してきた映像には力も価値もあると思っていますので、ぜひこれからも続けていってほしいですね」
(【前編】「スーパーサッカー」27年の歴史。なぜMCは徳永英明、加藤浩次に? を読む)