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水泳ジュニア五輪杯中止から考える。
今、子供たちが1人でやるべきこと。
posted2020/05/17 20:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
5月13日、水泳のジュニアオリンピック杯夏季大会の中止が決まった。
ジュニアオリンピック杯夏季大会とは、毎夏に行われている水泳の全国大会だ。競泳、飛込、水球、アーティスティックスイミングが実施され、小、中、高校生が参加する。
今年は8月に大阪などで予定されていたが、すでに中止された春季大会に続き、大会そのものがなくなることになった。
その意味は小さくない。
瀬戸大也は、この大会での中学2年生時の400m個人メドレーを思い出の1つとして語ったことがある。萩野公介を破り、優勝したレースだ。
小学生の頃からライバル関係にあり、ただ、萩野に敗れるレースも少なくなかった。その中での勝利だった。
「あれは大きかったですね」
のちのちの、糧の1つになっただろう。
レース後、サインを求める姿もあった。
瀬戸に限らず、多くの選手にとって、それぞれの年代で、目標の1つとする全国大会である。
ジュニアオリンピックカップには、瀬戸、萩野に限らずシニアの日本代表で活躍する選手が出場してきた。そういった選手の存在は他の選手にも刺激となってきた。
例えば2016年夏季大会。この年は、リオデジャネイロ五輪に出場した池江璃花子が出場した。
また、2017年夏季大会には、同じくリオの代表だった今井月が出場している。
彼女たちのように、オリンピックなどで活躍する選手たちの泳ぎを、参加する選手たちが間近で見られるのが、小学生から高校生まで一堂に会するジュニアオリンピック杯だ。
池江らの泳ぎを熱心に見つめる小学生スイマーの姿があったし、レース後、サインを求める姿もあった。