オリンピックへの道BACK NUMBER
瀬戸大也が同級生をコーチに抜擢。
内村、小平も選んだ最後のピース。
posted2020/05/31 20:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
競泳の東京五輪代表、瀬戸大也の新たなコーチに、浦瑠一朗氏が就任することが報じられ、注目を集めている。
瀬戸は今年4月、小学生の頃から指導を受けてきた梅原孝之コーチのもとを離れた。延期になったとはいえ、オリンピックを1年後に控えたこの時期に関係を解消したこと、そしてどのような態勢となるのか、注目されていた。
それへの答えとなった形だが、驚くべきは本格的な指導経験を持たない浦氏を選んだことだ。
浦氏は瀬戸と埼玉栄高校時代の同級生で、瀬戸と同じくスイミングクラブ「JSS毛呂山」出身。日本選手権に出場した経験も持つ。
筑波大学を卒業後、金融機関に就職。働きながら泳いできたが、現在は退職している。そして今回の就任の報だ。
東京五輪に向け、周到に逆算してきた。
瀬戸と長いつきあいがあるとはいえ、指導歴を考えれば、異例と捉える向きがあるのも無理はないだろう。
ただ、ひたすら異例のこととばかりも言えない。
背景にあるのは、やはり、東京五輪延期だ。
瀬戸にとっては、2020年に迎える集大成の舞台であり、リオデジャネイロ五輪(400m個人メドレー銅メダル)で届かなかった金メダルを手にすることだけを胸に抱き、進んできた。
周到に逆算し、その時期その時期で必要なトレーニングに励み、強化を図ってきた。
その成果が昨年の世界選手権での、2大会ぶり3度目の400m個人メドレー優勝、200m個人メドレー初優勝、200mバタフライ銀メダルという成績として表れた。1大会での個人種目3つのメダルは日本初、世界選手権計4つの金メダルもまた日本初であった。