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秋山準がDDTゲストコーチ就任!
「今しかできない」団体強化の道。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2020/05/15 11:30

秋山準がDDTゲストコーチ就任!「今しかできない」団体強化の道。<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

DDTの“大社長”高木三四郎と全日本プロレス・秋山準が新型コロナ時代に、新たなタッグを組んだ!

コロナ禍で試合が少ないからこそのコラボ。

「秋山さん、全日本プロレスさんのスケジュールもありますし、DDTも普段は月の半分くらい試合をしている。そういう状況では無理ですけど、今は時間に余裕があるので。こういう時にダラダラ過ごしていると、興行を再開した時に後れを取ってしまう」

 実は秋山は、この5月にWWEでゲストコーチを務める予定だった。技術と育成手腕が海外でも評価されているのだ。だがコロナ禍で渡米が不可能となった。そのタイミングで「今なら受けてくれるんじゃないかとダメ元で」DDTがオファーしたのである。

 ゲストコーチ就任と合わせてDDTに定期参戦することにもなった秋山は、5月9日配信のTVマッチでリングから挨拶している。

「(ジャイアント)馬場さんから受け継いだものをすべて教えたいと思います」

 秋山にとっては、全日本であろうとWWEであろうとDDTであろうと、教える相手にこだわりはない。

「馬場さんから教わったものは僕の宝。それをこれから活躍するであろう若い選手に伝えていければ。DDTさんだけじゃなく、どこの選手にでも」

「どんな技にも形だけじゃなく理屈がある」

 秋山は全日本でデビュー後、ノア旗揚げに参加。再び古巣に戻ると社長やGMも務めて“老舗復興”に尽力してきた。その技術の片鱗を、筆者も体で味わったことがある。

 昨年、インタビューした時のこと。新人育成について「基本の大切さ」を語った秋山が「ちょっとやってみましょうか」と実演してくれたのがリストロックだった。

 この技で決着することはまずないのだが、実際にかけられてみるとどうやっても体が動かない。リスト=手首だけでなくヒジ、肩までガッチリと固められてまともに立っていられないのだ。パワーでねじ伏せられているという感覚はなかった。ポイントを的確に押さえられているのだ。秋山は言った。

「どんな技にも形だけじゃなく理屈がある。それを分かっているかどうかで差が出るんですよ」

 今はそれほどでもないが、昔は試合中に「変なこと」をしてくる相手もいた。だから余計に「しっかりした技術」が必要なのだと秋山。それでいて根性主義の練習には懐疑的で「今はウェイトトレーニングもいいマシンがありますからね」と言う。

 秋山のプロレス観は深いだけでなく広い。全日本マットでは、馬場率いるファミリー軍団vs.悪役商会のコミカルな試合からも多くのことを学んだという。

「巡業でも毎日、見てましたから。毎日見てるのに笑っちゃうんだから凄いですよね」

 観客の歓声から何を感じ取るか。客席のどこを見て技をかけるか。ベテランたちの闘いには、観客を盛り上げるためのエッセンスが詰まっていたそうだ。今は秋山自身、しばしば興行の前半戦で実に味わい深い“楽しい試合”を見せてくれる。

【次ページ】 「気になる選手」竹下との“再会”も。

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