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WWE史上2人目のグランドスラム。
アスカ「カメラの向こうを意識して」
posted2020/05/21 11:30
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
世界最大のプロレス団体WWEで活躍する女子プロレスラー、アスカが快挙を達成した。
アスカは、日本時間の5月11日に配信されたPPV特番『マネー・イン・ザ・バンク』(MITB)での女子MITBラダー戦で、ブリーフケースを奪取し見事優勝。日本人選手によるMITB制覇は、2005年にスタートして以来、男子、女子を通じて史上初となる。
快挙はそれだけにとどまらない。
MITBの翌日配信された、月曜レギュラー番組ロウのオープニングでは、ロウ女子王者のベッキー・リンチがMITBのブリーフケースを持って登場。そこへアスカが現れ、「コラッ! それ(ブリーフケース)はワシのじゃ!」と、怒りを露わにすると、ベッキーは「確かにあなたのものよ」と、ケースからロウのチャンピオンベルトを取り出し、「昨日の試合(女子MITB戦)はロウ女子王座決定戦でもあったの。私はもう闘えないけど、あなたはできる。アスカ、あなたが王者よ」と、ベルトを手渡した。
そしてベッキーは「あなたは戦士として、私は母としてやっていく」と、サプライズで妊娠を発表。これにはアスカも驚き動揺しながらも、「おめでとう!」と抱き合い、因縁を超えて祝福した。
これによってアスカはロウ女子王座を初戴冠。これまで獲得したNXT女子王座、スマックダウン女子王座、女子タッグチーム王座とともにWWE女子4大タイトルすべてを手中に収め、WWE史上2人目となるグランドスラムを達成した。
「ついに、ここまで来ることができた」
この快挙の3日後、アスカは電話にて個別のインタビューに応え、よろこびの声を聞かせてくれた。
――WWE史上2人目の女子グランドスラム達成、おめでとうございます!
「ありがとうございます! いや~、ホントに信じられないというか。うれしいです! 私はWWEに来てから、史上初とか、歴代最長とか、記録をいくつも持ってるんですけど。ついに、ここまで来ることができましたね」
――おっしゃる通り、WWE参戦後、267連勝を始めさまざまな記録を作ってきましたけど、やはりグランドスラムも狙っていましたか?
「これまでNXT、スマックダウン、タッグ王座は獲ることができたんで、『あとロウのタイトルを獲るだけで、グランドスラムや!』とは思っていたんですけど、なかなかロウのタイトルだけは挑戦はできても取れなかったですよ。近づいたかなと思ったら遠くなったり。そういうのが続いていたので、やっとこさ獲れましたね」