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秋山準がDDTゲストコーチ就任!
「今しかできない」団体強化の道。
posted2020/05/15 11:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
今、スポーツの世界で最も大きな“動き”を見せているジャンルはプロレスだろう。
業界最大の団体WWEはビッグイベント『レッスルマニア』を無観客(配信)イベントとして実施。日本でもさまざまな団体が中継(配信)用の無観客試合を開催している。
中でもプロレスリング・ノアとDDTプロレスリングはTVマッチをシリーズ化。積極的にタイトルマッチを組んでいる。女子団体アイスリボンは、封印されていたインターネット(で配信される試合限定の)王座「IW19」を復活させ、新王者決定トーナメントを開催中だ。
スポーツジャンルとして見ると、プロレスには統一機構がないという弱みがある。業界全体としての取り組み、基準作りが難しいのだ。ただ、だからこそ良くも悪くも縛りが緩い。弱小団体、インディーレスラーでも個性とバイタリティーを発揮しやすく、“右へ倣え”と無縁。一言でいえば“たくましい”業界だ。
今できることは何か。それを考えた結果が、各団体の無観客試合だろう。DDTはもう一歩踏み込んで「今しかできないことは何か」に取り組んだ。
ツイッターから始まったオファー。
それが、全日本プロレス・秋山準をゲストコーチに招くことだった。きっかけがツイッターというのが、いかにもDDTらしい。
1カ月ほど前、秋山が自身のプロレス観についてつぶやいた。「試合でみなさんに観せてるのは6~10(の部分)」、「ですが、1~5を持ってると持ってないのは全く違うと思います」。さらに「1~10までプロレスの技術を全て俺が教えたらどんなプロレスラーになるのかな」とも。
これに食いついたのがDDTの“大社長”高木三四郎だった。
「今はプロレス界が“守り”の時期になってますよね。であれば、今ウチの選手に秋山選手が持っているプロレスの1から10を教えていただきたいなと、ツイッターでDM(ダイレクトメッセージ)させていただきました」
DDTは6月7日のビッグマッチ、さいたまスーパーアリーナ大会が開催見合わせになるなど、興行面で“攻め”ることが難しくなっている。無観客試合もあるが、当然ながら以前に比べると試合数が少ない。それなら、この時間を活用して実力を高めようというわけだ。転んでもただでは起きないのがDDTである。