スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
乾所属エイバルが練習再開前に異議。
陽性者も確認、綱渡り続くリーガ。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMiguel Ruiz/FC Barcelona/AFP/AFLO
posted2020/05/13 11:00
週末の個人練習ではバルサのメッシもトレーニングに励んだ。感染リスクがついて回る中、ラ・リーガは再開できるのだろうか。
リーガ会長「予想を下回る結果」
幸いにも今回の検査で陽性反応が出た選手はみな無症状で、間もなく完治する見込みだという。彼らは自宅でのトレーニングを続けながら、2度の検査で陰性反応が出ればチームへの合流が可能になる。
当初ラ・リーガは30人前後の陽性反応が出ると見込んでいただけに、この結果に胸を撫で下ろしたことだろう。
同日夜にサッカー番組に出演したラ・リーガのハビエル・テバス会長は、次のようにコメントしている。
「5選手に陽性反応が出たが、予想を下回る結果だった。フットボール界にとって良いニュースだ。リーグの再開後は1人も感染者が出ないことを期待している。このまま順調にいけば、ほぼゼロに抑えられるはずだ」
確かに、再開への第一歩は成功したと言えるかもしれない。
しかし、今後もウイルス感染のリスクは存在し続ける。
規制緩和開始で、やはり緩みが。
5月に入り、スペインでは外出制限の段階的緩和がはじまった。
それまでは食料品や医療品の買い出しでしか家を出られなかったが、まず14歳未満の子供を対象とした1時間以内の散歩、続いて14歳以上の散歩やランニング、サイクリング等の運動が許可された。
11日からは約半数の地域でフェーズ0からフェーズ1に規制緩和が進み、400平方メートル以下の店舗の営業やバル、レストランのテラスでの飲食が可能になっている。
もちろん人々が平時の生活を取り戻していくのは良いことである。ただ怖いのは、規制が緩むたびに人々の緊張感が薄れていくことだ。
規制緩和がはじまって以降、散歩や運動が許される朝と夜の時間帯は町中が人で溢れかえるようになった。そのうち半数はマスクも手袋も付けていない。それどころか通りのベンチに座っておしゃべりしたり、ビールを飲んだりと、許可されていない行為を平気で行っている人もいる。
こうした無責任な行動がパンデミックの第二波を引き起こす恐れはある。そうでなくとも、まだ日々新たに数百人の感染者が出続け、結果として200人前後の人々が亡くなっているのである。