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伏兵ラウダシオンはなぜ勝てた?
斉藤師が語る武豊&デムーロ効果。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKyodo News
posted2020/05/12 20:00
NHKマイルCを制したラウダシオン。リアルインパクト産駒として初の重賞制覇をGIで飾った。
「ユタカさんの前2走のお陰で」
レース前は2週にわたってM・デムーロ騎手が調教に騎乗した。とくに最終追い切りに関しては自らの希望で騎乗したそうだ。
「そこで1週前より状態が良くなっているという感触を得ていました」と斉藤調教師。更にレース当日は「良い感じ」という印象を受けたと続ける。
「装鞍所とパドックで馬を見ました。いつも普通に歩けないでダクになってしまうような面がある馬なのですが、この日は普通に歩けていたので『良いな』と思いました」
デムーロ騎手に対しては何の指示も出さずに送り出した。ゲートの駐立はあまり良くないタイプなので、スタートはとくに注目して見ていた。すると……。
「案の定、一歩目は遅くなってしまいました。でも、ミルコがうながすと、すぐに反応して前につける事が出来ました」
これにはここ2走で手綱をとった武豊騎手のお陰だと思うと続ける。
「ユタカさんがここ2走連続でうまくスタートを決めてくれていたので、馬が分かっていた感じでした」
考えていた以上にバテていない。
気付くとハナにでも行けそうな位置からレシステンシアを行かせて2番手で折り合った。
「最初の3ハロンは少し速く感じたので『前過ぎるかな?』と思ったけど、中盤は緩んだので『なら、ここで大丈夫かな……』と、そんな気持ちで見ていました」
3~4コーナーをカーブして直線に向く。この時の心境を次のように振り返る。
「向かい風が強く、追い込むには厳しい条件だと思ったし、ミルコの手応えも良かったので『これはひょっとしたら勝てるかも……』と思いました」
実際、レシステンシアをゆうゆうとかわして先頭に立つと、追いつきそうな後続馬は皆無。客観的には早々に勝負あったと思える態勢だったが、果たして当事者の目にはどう映ったのか……。
「力強くかわして先頭に立って、あとは後ろから何が来るかと思って見たけど、考えていた以上にラウダシオン自身が全くバテていない感じだったので『これなら(勝てる)』と思いました」