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2020年は”B千賀”にきっと驚く。
「すべてを捨てて、新しい投球を」 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/05/14 07:00

2020年は”B千賀”にきっと驚く。「すべてを捨てて、新しい投球を」<Number Web> photograph by Kyodo News

キャンプでも当初はノースロー調整が続いたが現在は「ブルペンに入ろうと思えば入れる」ところまで回復した千賀。

昨年とはまったく違う投球フォーム。

 もちろん球界として正式に方向性が決まり、周囲から求められる声が上がるならば全力で応えるための準備はしている。

 千賀は2月のキャンプ終盤に右腕の不調でペースダウンした。チームと共に福岡に戻ってからはずっとリハビリ組で調整を行ってきた。ただ、3月下旬にキャッチボールを再開。それ以降はなかなか順調のようだ。ホークス球団や選手のSNSなどで投球の様子を何度か確認することができた。

 その動画を見て「え?」と反応してしまった。別人ではないかと疑うほど投球フォームが変化をしていたからだ。

 もともと千賀は、すっと左脚を上げてその後の動作も静かで、リリースの瞬間に一気に力を放出していた。しかし、映像で見たのはガバっと左脚を高く上げて、テイクバックも大きく、そして鍛え抜いた肉体の力をドンと解き放つような印象だったのだ。いかにもメジャーリーグの投手を模したような投げ方に見えた。

これだけの成績を残して、なお新しい道を。

 それは故障の影響ではなかった。千賀は意図的に新しいことに挑戦をしていたのだ。5月3日に球団設定のオンライン取材の中で次のように明かした。

「自分自身を見つめなおす時間があるので、勉強をして『今までの千賀と違うぞ』と思ってもらえるような、良い取り組みが出来ていると思います。まだ自分の中でこれで大丈夫と、周りに言えるほど自信のあるものではないし、ブルペンでまだ試していない。

 ただ、今までの僕よりもすごくなるため。今までのものをすべて捨てて、新しいことをやっています。今までが『A千賀』ならば今回は『B千賀』というくらい違うもの」

 昨年は開幕戦で161キロをマークし、9月には令和初となるノーヒットノーランを成し遂げた。4年連続2桁勝利も達成し、シーズン227奪三振でタイトルも獲得した。それでも、千賀はそのスタイルを投げ捨て、新たな道を探っているのだ。

【次ページ】 軸足に体重を「乗せすぎない」。

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