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マンUの惨状を見て思い出す6人。
ファギーの雛鳥たちがいれば……。
posted2020/05/12 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
「目を閉じるだけで、いまでも思い出す懐かしい光景だ。練習後、6人の少年たちはいつもふざけ合っていたね」
自著『MY AUTOBIOGRAPHY』から、サー・アレックス・ファーガソンの穏やかな感情が伝わってくる。6人の少年たちとはライアン・ギグス、ポール・スコールズ、デイビッド・ベッカム、ニッキー・バット、ガリー・ネビル、フィル・ネビルのこと。
その名も高き、 “ファギーズ・フレッジリングス”(ファーガソンの雛鳥たち)である。
少年時代の彼らはごく普通、もしくは平均点以下だったという。ギグスはやせっぽちで、スコールズとG・ネビルは上背に恵まれていない。バットとP・ネビルはスピード不足に悩み、ベッカムも10代から煌めいていたわけではなかった。しかし、同年代であるため、お互いがお互いを強く意識していた。
G・ネビルが育てたロナウドの感謝。
「あいつにだけは負けたくない」
一番の負けず嫌いはG・ネビルだ。
「朝、腹を立てながら目覚めていた」とファーガソンが自伝でからかったように、かみつく相手を一日中、探していた。実弟フィルが同じクラブにいるのだから、恥をかくわけにはいかない。
もっとも、G・ネビルの好戦的な性格に基づく強気なプレーが、彼を超一流の右サイドバックにのしあがらせた、といって差し支えないだろう。全盛期の彼はつねに戦闘態勢を整え、大型FWにも臆せず立ち向かっていった。
また、キャプテンとしてユナイテッドを支え、あのクリスティアーノ・ロナウドを一人前に育ててもいる。
「中に入れ、戻ってくるな、プレスしろ、とにかくうるさくてうるさくて、もうウンザリするほどね。でも、ガリーのアドバイスがあったからこそ、こんにちの俺がある。感謝しているよ」
後にC・ロナウドも、口うるさい先輩に敬意を表していた。