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4月29日は日本全国“熱男の日”!?
松田宣浩が絶叫に込めた元気の魂。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2020/04/29 09:00
松田宣浩の呼びかけから「熱男~!」の呼びかけの輪がどんどん広まっている。「元気」の心は確かに伝わっているのだ。
最初は戸惑った「熱男」のスローガン。
2005年、現在のドラフト1位に相当する希望枠でソフトバンクに入団。1年目から一軍で経験を重ね、3年目からはレギュラーに定着し有言実行を果たした。
そして、プロ10年目の'15年。
出会いは突然だった。しかし、当初の印象はあまりよくなかった。
「なんやそれ、使い勝手悪そうだなぁ」
ソフトバンクが打ち出したスローガン『熱男』に、松田は戸惑った。
――それでも言葉を受け入れたのは? 本人に尋ねたことがあった。
すると、松田は「正直、難しかったんですけどねぇ」と、頷きながら答える。突き動かしたのは、やはり自らの覚悟だった。
「難しい言葉だからこそ根付かせたかったというか。チームのスローガンなんでね、自分が率先してやることで、ファンのみなさんにも浸透していけばいいなって思いましたね」
そこで誕生したのが、あのセレブレーション。きっかけは、「たまたま」だったという。
初めて松田が「アツオー!」と叫んだ日。
4月29日の日本ハム戦。
先頭打者で迎えた4回の第2打席で放った、シーズン5号目の本塁打だった。松田は、ソフトバンク応援団が陣取る観客席に向かって、初めて「アツオー!」と叫んだ。
この時は控えめに左腕でガッツポーズする程度で、現在のような豪快なフォームではなかった。少し迷いがある。まだ、使い勝手の悪さを拭い去れていない様子だった。
松田がこのように振り返っていた。
「『熱男でなんかやらないとな』とは思っていたんです。たまたまだったんですけど、あそこで使ったことで続けていこうって。1本目からじゃなくて、途中から始めたことで難しさはありましたけどね」
松田が拳を振り上げるたびに、選手たちの士気が高まっていく。2年連続で日本一を目指すソフトバンクは、夏場以降に『全員!熱男!』とスローガンを昇華させた。