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4月29日は日本全国“熱男の日”!?
松田宣浩が絶叫に込めた元気の魂。
posted2020/04/29 09:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
SNSで「熱男」の輪が広まっている。
「次はあなたです!」
指名を受けた者が、腕を突き上げながら「アツオー!」と叫んだ動画をインスタグラムなどに投稿し、バトンを繋ぐ。ソフトバンクの多くの選手だけでなく、阪神の西勇輝や楽天の松井裕樹、そして球界以外でも、Jリーグの槙野智章、大久保嘉人、Vリーグの清水邦広、Bリーグの五十嵐圭、元フィギュアスケート選手の安藤美姫、さらには芸能人の武井壮、指原莉乃ら、業界の枠組みを越え、他競技のアスリートや著名人のみならず、日本中に熱男がどんどん増殖しているのである。
新型コロナウイルスの影響により全国に緊急事態宣言が発出されたことで、国民の自由が奪われた。鬱憤。焦燥。落胆。人々は悲観的な感情を振り払うべく、腕を天にかざす。その瞬間だけは、少なくとも昂揚感を取り戻し、活力が漲る自分を確認できる。
やはり、熱い心は大事なのだ。
この「熱男リレー」の仕掛け人は、言うまでもなくソフトバンクの松田宣浩である。
本塁打のセレブレーションとして、野球ゲームの固有パフォーマンスにも採用されるようになるなど、野球界ではすでに市民権を得ている。しかし、普遍的にそれが松田発祥であり、「熱い男なんだ」と認知されるようになったのは、おそらくこのリレーによるところが大きい。
「元気を出すのはすごく大事なこと」
熱く、元気であれ。
それは、松田にとって野球人生における覚悟のようなものだ。
亜細亜大入学時に、自分よりも格段に実力がある名門校出身の同級生を目の当たりにし、「このまま萎縮したら負けだ」と自覚した。
その危機感から導き出されたアピールこそ、熱さと元気だった。彼は常々こう語っている。
「元気を出すのはすごく大事なことなんですよ。グラウンドに立つ以上は絶対に必要なんですけど、誰よりも元気を出すと目立ちますよね。そこで結果を出せなかったら『なんやあいつ、それだけかい』って言われるじゃないですか。僕、それが嫌だったんです。だから、『元気を出す以上は、絶対に結果も出さないといけない』ってね」