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三浦隆司のボンバーレフトが炸裂!
ローマン戦、戦慄のボディーブロー。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Fukuda
posted2020/04/29 11:30
強烈な左を武器にWBCスーパーフェザー級王者を4度防衛した三浦。写真は3度目の防衛を果たしたエドガル・プエルタ戦。
左ボディーフックがどてっぱらを叩いた。
流れが変わったのは7回。ローマンのペースが落ち、三浦がようやく反撃に出る。8、9回は明らかに三浦のラウンドだと言えた。
10回だった。
三浦が攻め、ローマンがしのぐ。チャンスなのは間違いない。だがボンバーレフトが火を噴きそうで噴かない。もどかしい。時計は残り10秒。
両ガードを高く上げるローマン。逆に両手をぶらりと下げてにじりよる三浦。
その刹那、大きく振りかぶった左ボディーフックがローマンのどてっぱらを叩いた。
ドゴッ。
滅多にお目に掛かることのできないレベルのボディーブローだ。
崩れ落ち、苦しそうにキャンバスを転がる。
悶絶。その言葉のごとく。
ローマンはうずくまるように崩れ落ち、苦しそうにキャンバスを転がる。どれほどの威力だったかがよく分かる。
残り時間が少なかったことで逃げ切られてしまったが、回復できるダメージではないことは明らかだ。
ボディーブローで気力も体力も一気に吸い取ることに成功した三浦は11回にもダウンを追加。最終12回に決着をつけ、逆転KOを成し遂げた。
ハラハラドキドキのボンバー劇場、ここに極まれり。
三浦にこのシーンを振り返ってもらったことがある。
「映像で見ると分かりにくいですけど、一瞬、体のフェイントを入れてローマンも上(顔面)にパンチが来ると思ったんじゃないですかね。それまでガンガン上を狙っていたんで、うまく引っ掛かったというか。
あのボディーは相当練習しました。どれだけ強いパンチを、ボディーに入れられるかを。サンドバッグで打ってきたパンチがそのまま当たった感じでした。狙ってはいないけど、ここだって思いました。だからまぐれではないんです」