スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ビッグネームとコロナ禍の壁。
“人災”でMLBの偉大な記録が……。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byALFO
posted2020/04/25 09:00
ワールドシリーズ制覇を果たし、昨年11月ホワイトハウスを表敬訪問したナショナルズのマックス・シャーザー。
老化は容赦なく襲いかかってくる。
もし今シーズンが完全にキャンセルされたら、彼の通算本塁打数は680本前後(史上5位)、安打数は3300本強(史上10位か11位)にとどまると思う。それでももちろん、大記録に変わりはないのだが。
では、いまのところ「最後の三冠王」の称号を得ているミゲル・カブレラはどうだろうか。
'83年4月生まれで、年齢的には37歳を迎えたばかりだが、彼の場合はこの数年、故障に泣かされつづけてきた。2011年から15年までの5年間に4度もア・リーグ首位打者を獲得した黄金時代も、さすがに過去のものとなっている。
通算安打数は2815本、通算本塁打数は477本。どちらも、3000本安打、500本塁打のマイルストーンを射程圏内に収めているのだが、不確定要素も多い。
なによりも、脚の故障が再発するようだと情勢はきびしい。契約は'23年まで残っているが、'20年のキャンセルが吉と出るか凶と出るかはわからない。
故障をゆっくり治療できるならラッキーだが、老化は別の面でも容赦なく襲いかかってくる。金字塔到達までには、残り185安打と23本塁打だ。彼の地力をもってすれば、十分に実現可能な数字だけに、なんとか体調を整えて捲土重来を期してもらいたい。
シャーザーの3000奪三振達成は?
一方、ヴェテラン投手のなかで注目すべきは、マックス・シャーザーだろう。
3000奪三振を達成した現役投手は、いまのところジャスティン・ヴァーランダーただひとりだ(史上18人が達成)。
シャーザーの通算奪三振数は2692個だから、金字塔到達まではあと308個だ。過去5年の平均奪三振数は約274個だから、順調に行けば21年序盤に大台到達が可能と思われていた。