マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2020年の高校No.1捕手では?
日大藤沢・牧原巧汰、打も肩も◎。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/04/24 11:30
日大藤沢高校の牧原巧汰は先の見えない夏に向けてどんな準備をしているのだろうか。
キャッチャーをやるために日大藤沢へ。
込み入った話の中に、時折り交える自然な笑顔。初めての大人におびえるようなところもない。その精神的な成熟度は山本監督も認めるところだ。
「物怖じするようなヤツじゃないですね。苦しい練習にもひるまずに挑んでいく心身の強さがすばらしいと思います。中学(座間ボーイズ)の時はショートで光ってたんですが、『キャッチャーやりたいんで日大藤沢に来ました』って言うもんですから。キャッチャーで使っていくしかありませんよね、いろいろ問題はあっても……」
そんな注文をつけてはいても、語る表情がうれしそうだから、自然と“評価”は想像できる。
「彼の言っていたスローイング動作なんか、高校生にはかなり難しい技術なんですけど、それもなんとか、そこそこ習得しつつある。とにかく、目の前に会得したほうが自分のためになると思うテーマがあると、必死に練習して身につけようとする。そこは、たいしたものです。
彼には同期に、姫木(陸斗・投手、外野手)や菊地(隼輔・内野手)という意識する存在がいるのが幸せですね。もっと上、もっと上っていう気持ちを維持できますからね、お互いに」
やられた試合は潔く脱帽。
桐光学園・安達からモノの見事に左中間へ持っていった次の試合。決勝戦で、東海大相模によもやの「24-1」。こっぱみじんに粉砕された牧原巧汰と日大藤沢。
「捕手として、何もできませんでした。初回、外野フライ3本で三者凡退に抑えたんですが、そこで『今日はやられる』と思いました。3本ともファーストストライクを芯で捉えられた完璧な当たり。押しつぶされ続けて、どうしていいのかわかりませんでした」
完全に脱帽、言いわけなし。その潔さがいい。
そこが「捕手」、ゲームマネージャーとして伸びしろと心すればよい。
さあ、今はいったい、どうして過ごしているのか。
今が伸び盛りのはずのこういう選手を知ってしまっているから、余計、今の「コロナ」による停滞が憎い。