箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
帝京大・中野監督の葛藤と危機感。
「来年の箱根駅伝は想像できない」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2020/04/17 11:00
帝京大の中野孝行監督は2005年に就任、今年まで3年連続シード権を獲得するなど強豪校に育てた。
今は動かないことが大事。
「学生たちの健康を保持するためには、今は事態を収束させることを優先するべき。そのためにも今は、時間が経つのを“待つ”べきなのかもしれません。“動かない”ことが大事なのだと思う」
アイルランド出身の劇作家、サミュエル・ベケットの代表戯曲『ゴドーを待ちながら』は「Nothing to be done.」というセリフから始まるが、中野監督との電話を終えた後でそのセリフを思い出した。
私の勝手な解釈だが、「することがない!」というショートメールは、実は中野監督の現況に対する姿勢の表明だったのかもしれない。それは、決してネガティブな姿勢などではない。明るい未来を取り戻すための、ポジティブな姿勢だ。