ツバメの観察日記BACK NUMBER
若松勉こそがミスタースワローズ。
打率も人望も食事会の幹事も最高だ!
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO
posted2020/04/16 18:00
現役時代は「小さな大打者」と言われた若松氏。2001年に監督としてヤクルトを日本一に導いた際は胴上げで一回転していた。
「若松は人望があってうらやましい」
江本 「あぁ、若松か。何の用?」
若松 「あの、明日の食事の件だけど……」
江本 「あぁ、明日の件ね……」
ともに沖縄でキャンプ取材中だった江本と若松は食事の約束をしていたという。店を決めたのは若松で、予約してある店は彼が愛用している名店だった。
若松 「明日の料理だけど、牛も豚もお勧めなんだけど、どっちがいい?」
江本 「そんなことでわざわざ電話してきたのか? そんなもん、両方頼めばいいやろ」
若松 「あぁ、そうだね。両方用意しておいてもらうよ。じゃあ、また明日!」
何という気遣い! 江本さん本人から聞いたのだから間違いない。
こんな優しさを併せ持った不世出の安打製造機がいるだろうか?
若松の殿堂入りパーティーの際に、あのカネやんが「若松は人望があってうらやましい」と口にしたのも、彼が気遣いの人だからこそなのだ。
みんなが楽しく食べて、飲んで、幸せになれるように気遣うことのできる名幹事、それが若松勉なのだ。
「若松勉 アズ ナンバーワン」
……他にも例を挙げればいくつもある。
故障でスタメン落ちしながらも、2試合連続サヨナラホームランを放ったこともあったし、通算サヨナラホームラン8本は、あの王貞治と並ぶセ・リーグトップタイ記録だ。
どうだろう、ヤクルトの歴代ベストナインに「若松勉」という名前が刻まれていないことが、いかに不可解なことであるか、おわかりいただけたのではないだろうか。
さまざまな「ナンバー1の条件。」を満たした男、それが若松勉なのだ。
「若松勉 アズ ナンバーワン」なのだ!