ツバメの観察日記BACK NUMBER
若松勉こそがミスタースワローズ。
打率も人望も食事会の幹事も最高だ!
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO
posted2020/04/16 18:00
現役時代は「小さな大打者」と言われた若松氏。2001年に監督としてヤクルトを日本一に導いた際は胴上げで一回転していた。
「ファンのみなさん、優勝おめでとうございます!」
(3)「軸をぶらして打てる天才は若松とイチローだけ」(by 野村克也)
あの野村克也は、生前「私の打撃理論に当てはまらない打者が2人いる」と語っていた。その2人こそ、イチローと我らが若松勉だった。
ノムさん曰く、「投球に応じて軸をぶらしながら対応できるのはあの2人だけ。天才としか言いようがない」とのこと。
あのノムさんが認める男。そしてあのイチローと肩を並べる男、それが若松勉なのだ。
(4)「ファンのみなさん、優勝おめでとうございます!」発言
若松勉は気遣いの人でもある。
2001年、死闘を制してセ・リーグを制覇した際に、優勝監督インタビューで口にしたのが、「ファンのみなさん、優勝おめでとうございます!」の言葉だった。
一説には「本当は“ありがとうございます!”と言おうとしたのを間違えて、“おめでとうございます!”と言ってしまったのでは?」という憶測が流れたが、キッパリと「最初からファンの方におめでとうと伝えるつもりだった」と本人が否定している。
体重が軽すぎるがゆえに、胴上げ時には空中で一回転するという離れ業も披露。
優勝の歓喜の中、真っ先にファンをねぎらうことのできる男、それが若松勉なのだ。
江本孟紀の携帯電話が突然鳴った。
(5)参加者を気遣うことのできる名幹事
若松勉の気遣いエピソードはまだある。
今年の2月、キャンプ取材中の江本孟紀の携帯電話が突然鳴った。あいにく電話帳登録のない番号だった。
一度は無視するものの、どうにも気になる。いぶかしく思いながら江本がかけ直すと、電話に出たのは若松だった。