ツバメの観察日記BACK NUMBER
若松勉こそがミスタースワローズ。
打率も人望も食事会の幹事も最高だ!
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byKYODO
posted2020/04/16 18:00
現役時代は「小さな大打者」と言われた若松氏。2001年に監督としてヤクルトを日本一に導いた際は胴上げで一回転していた。
ヤクルト史上「歴代ナンバーワン」。
おりしも、節目となる『Number』1000号は「ナンバー1の条件。」の大特集となっているが、ヤクルト史上ナンバーワン選手は若松勉以外に誰がいるというのか?
なぜ、若松勉が「ミスタースワローズ」と呼ばれているのか? 彼が背負った背番号「1」が、その後も池山隆寛、岩村明憲、青木宣親、そして現在の山田哲人といったそうそうたるメンバーたちに引き継がれているのか?
答えは簡単だ。若松勉が正真正銘の「ミスタースワローズ」であり、ヤクルト史上「歴代ナンバーワン」だからだ。
そこで、どうして若松勉がナンバーワン選手なのか、改めて「ナンバー1の条件。」を、私見だらけで検証してみることにしたい。
若松勉が「ナンバーワン」である5つの理由。
(1)ミスタースワローズ、背番号「1」の系譜の元祖
プロ2年目となる1972年に若松勉が背番号「1」をつけて以来、前述したようにこの番号を背負った選手は、池山隆寛、岩村明憲、青木宣親、山田哲人というスワローズ史に残る歴代スーパースターが続いている。
ONの背番号「1」や「3」のような「永久欠番」ではなく、「この番号にふさわしい選手が登場したときにだけ与えられる」という「準永久欠番」の始祖こそ、若松勉なのだ。
(2)5000打数以上、NPB歴代2位の高打率
プロ19年間で若松勉が記録した生涯通算打率は.319。
4000打数以上では今も現役の青木宣親(ヤクルト)の.326、レロン・リー(元ロッテ)の.320に次ぐ歴代3位だが、5000打数以上で見ると2位だ。
しかし、青木は若松の教え子なので、若松勉が実質1位と言っても差し支えあるまい。
ちなみにこの.319というのは悪夢の96敗を喫した2017年シーズンのチーム勝率と同率であるのも何かの因縁か?
代打として起用回数300回以上の代打通算打率は.349で歴代1位。代打サヨナラホームランも歴代1位タイの3本。
全盛時は首位打者を2度獲得するなど、打率上位を占め、代打稼業となった現役晩年はここぞのひと振りで勝負を決めた男、それが若松勉なのだ。