リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ、レアルですらほぼ無収入。
コロナ禍はリーガ史上最大の危機。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/04/05 20:00
閑散としたカンプ・ノウ周辺。バルセロナとレアル・マドリーの2強がほぼ無収入となれば、いわんや他クラブは……である。
メッシらの70%減額に別の見方も。
バルサは今季、10億4700万ユーロ(約1242億円)の収入を見込んでいた。
ところが、くだんのテレビ放映権やチケット販売による実入りがなくなっただけでなく、3月14日にスペイン政府が非常事態を宣言した後はカンプ・ノウツアーを中止し、カンプ・ノウ併設のスケートリンクやバルサ博物館も閉鎖。
オフィシャルショップの客もまばらになって、入ってくるお金はほとんどない状態だ。
そこで支出を抑えるべく、年間予算の61%(5億700万ユーロ/約602億円)を占める全プロ部門(女子を含め、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、フットサル、ローラーホッケー)の選手たちの給料を、非常事態宣言が解除されるまで「労働時間を減らす」という形で減額することを決めたのだ。
これに関して、メッシを筆頭とするサッカーのトップチームの選手たちが70%の減額に同意したことを美談のように報じたメディアがあったが、相対する見方もある。
減額の対象はあくまで雇用調整期間中の給料(年俸を日割りして雇用調整期間の日数をかけた額)であり、仮にそれが1カ月続いても彼らが1年間に実際にもらう額に対してはわずか5.75%減でしかないからだ。
エスパニョール、アトレティコも。
ともあれ、バルサに続いて27日にはエスパニョールとアトレティコ、アラベスも政府にサポートを求めた。
エスパニョールはトップチーム、Bチーム、ユース世代2チーム、女子チームの全選手・スタッフと労働時間(給与)を70%減らすことで合意したことに加え、役員が自主的に減額を申し出たことを明らかにした。
アトレティコの場合は減額等の詳細は不明だが、選手や世界屈指の高給取りのシメオネ監督を始めとするスタッフ、一般職員のほとんどを含む計500人が対象だと発表した。