リオ五輪PRESSBACK NUMBER
フェルプス、メダル28個を勲章に去る。
“後継者”萩野に託したメッセージ。
posted2016/08/15 16:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JMPA
2000年代から今日にかけて競泳界に君臨し続けて、オリンピックの歴史に名を刻んだスーパースターが、プールから去った。
オリンピックは、それぞれの大会にスーパースターと言ってさしつかえない選手がいて、大会に彩りを添える。
今大会にも世界中が注目するアスリートたちがいる。その1人に、競泳のマイケル・フェルプスがいた。
8月7日に幕を開け、13日に終了した競泳において、日を重ねるにつれ、フェルプスへの熱狂は増していった。
競技後半になると、フェルプスの出場するレースの前には手拍子が起こるようになった。場内の大画面に大きなヘッドホンをつけて、フードをかぶって招集所に向かう姿が、招集所でスマートフォンを操作している姿が映し出されると、それだけで歓声が沸き起こった。
そしてアナウンスとともに姿を見せれば、歓声は地鳴りのようにボリュームを上げた。
コーチからは“まさかフェルプスが来るとは”の声が。
今大会を前に、18個の金メダルを含む計22個のメダルを手にしていたフェルプスは、リオで金5、銀1を加え、金23、銀3、銅2の計28個に増やした。それは五輪史上最多記録の更新でもあった。
その泳ぎは圧巻というほかなかった。
何よりも強烈な印象を与え、大会の主役の座を奪ったのは、今大会の個人種目で最初の金メダルとなった200mバタフライの決勝だった。
フェルプスに次ぐ2位に入り、銀メダルを獲得した坂井聖人を指導する奥野景介コーチは、いみじくも語っていた。
「フェルプスのことは、まったくマークしていませんでした」
まさか、来るとは……。そんなニュアンスがにじみ出ていた。