“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「あれが浅野拓磨の弟?」という目。
それでも兄は僕にとってヒーロー。
posted2020/03/30 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Kaito Asano
3月、浅野家の六男・浅野快斗は、三男・拓磨のいるセルビアはベオグラードにいた。
「久しぶりに兄貴と一緒に生活しました」
兄弟水入らずの時間で多くの会話をした。サッカーのこと、家族のこと、そして将来のこと。快斗にとってこの時間は大きな価値のあるものだった。これまで積み重ねた家族への思い、浅野家の六男としての立場、1人のサッカー選手としての自覚。さまざまな思いが交錯し、未来の自分を確認する時間であった。
「拓磨も雄也(四男・サンフレッチェ広島)も凄いと素直に思います。でもそれは今だからこそようやくそう思えるようになったのであって、それまでは素直に受け止められない現実がありました」
拓磨、雄也の背中を追う快斗。
六男一女の浅野家において、三男・拓磨は名門・四日市中央工高で選手権準優勝に輝き、高校卒業後は家族初のプロ選手として、サンフレッチェ広島で活躍した。その後、ドイツに渡ってシュツットガルト、ハノーファーでプレー、日本代表としてロシアW杯アジア最終予選でも活躍した。W杯出場メンバーからは落選してしまったが、森保一監督が率いる日本代表にも選出されるなど、次のカタールW杯に向け、現在はセルビアの名門クラブであるパルチザン・ベオグラードでプレーしている。
そして拓磨の2学年下である四男・雄也は四日市四郷高から大阪体育大に進学し、昨年に水戸ホーリーホックに加入。今季から拓磨も在籍した広島に移籍(昨年8月に広島移籍し、水戸にレンタル移籍だったため復帰)した。
六男・快斗は拓磨の7学年下、雄也の5学年下。拓磨と同じ四中工に入学して、今年度の高校選手権でベスト8に進出。卒業後、プロサッカー選手を目指してドイツに渡るも、新型コロナウイルス拡大防止の影響で、拓磨のいるベオグラードに一時滞在していた。