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メジャーリーガー前田健太の手応え
「僕はもっともっと成長できる」 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2020/04/01 11:00

メジャーリーガー前田健太の手応え「僕はもっともっと成長できる」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

将大とはライバルのように言われるけど。

 昔から同い年ということもあって、将大とはライバル関係のように言われますが、僕はまだ勝ったと思ったことが一度もないし、抜いたと思ったこともない。だからメディアで将大の名前と並べられることにずっと恥ずかしさがあったんですよ。

 僕が先に沢村賞を取ったとかも言われますけど、1年いい成績を残したからって、ピッチャーとして優れているかと言ったら、そうじゃない。積み上げられてきた実績、残している成績が全然違うし、それが選手としては大事なことですから。

 でも、同世代にずっと先を走っている存在がいたからこそ、自分は頑張ることができました。

 僕は自分よりもレベルが高い選手って絶対に必要だと思っています。例えば、僕が今、中学生とプレーをしたら、簡単に勝てるかもしれないけど、成長はしないですよね。僕よりも上手い選手が身近にいるからこそ、勝つための努力ができる。そうやって頑張ってきて、今なら、意識する選手として将大の名前を出してもいいんじゃないかなって思えるようになりました。それぐらいは、自分も頑張ってきたんじゃないかなって(笑)。

PL時代、一度も辞めたいと思わなかった。

 なかなか勝てない選手がいたり、うまくいかないこと、難しいことはたくさんあります。でも、どうしたらそれがうまくいくのかを考えながら過ごせることが、やりがいであり、楽しみでもあります。逆にそれがなくなったら、多分アスリートとして終わってしまうでしょうね。

 だから野球を辞めたいと思ったことは一度もありません。厳しいことで知られるPL学園時代も、多分周りはみんな辞めたいと思っていただろうけど(笑)、僕は一度も考えたことがありませんでした。

 厳しいとわかっていて、それでも望んで、PL学園に行ったんです。ここで頑張ればプロになれる、そのためには全て必要なことなんだ、と思っていました。

 夢があって、目標があって、それに今まで全ての時間を費やしてきた。だから、ちょっと理不尽なことがあったり、ちょっとしんどいぐらいでは辞めたいとは思いませんよ。むしろ、そこで辞めたら、みんなが遊んでいる時にした練習や、夏休みに頑張ってきたことが全てなくなってしまうじゃないですか。だからしんどいことはあっても、辞めたいと思ったことはないですね。

【次ページ】 ルーティンの中で自分の調子を見極める。

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