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FAに出来高、球宴&ドラフトも。
MLB日程延期の影響が大きすぎる。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2020/03/29 08:00
米経済誌フォーブスは、5月中旬までの開幕延期となった場合、MLBの損失額を最低20億ドル(約2226億円)と算出した。
1995年のスト時、年俸は約11%減少。
また、162試合ではなく、試合数を削減した場合、選手の給与はどうなるのか。
1995年、選手会のストライキで144試合となった際には、年俸は約11%減少した。試合数によって各球団の収益も変動するだけに、避けて通れない問題でもある。
さらに、成績次第でインセンティブ(出来高)が変わる契約の見直しも必要となる。投手の場合は登板数やイニング、野手は打席数などが給与に影響するためで、選手個々の契約内容が複雑なこともあり、簡単に解決策は見つかりそうにない。
フリーエージェント(FA)の取得日数にも、大きな影響が出てくる。
通常は出場選手枠に172日以上登録(故障者リスト入りを含む)されれば1年と計算されており、試合数が減少すれば、再考せざるを得ない。今オフの移籍市場にも直接関わってくるだけに、明確な方向性が必要になる。
ドラフトも中止か延期となれば。
毎年6月に行われる新人ドラフトも、中止または延期される可能性は捨てきれない。オープン戦中止決定後、各球団が国内外すべてのスカウトに活動停止を通達したことで、編成部門の業務はストップした。一部には、現在40巡目までの指名を10巡程度に減少する案や、来年1月まで延期するプランなどもあり、いずれにしても不透明な状態に変わりはない。
今後、感染拡大が収まり、規制が緩和されても、第2次キャンプ、オープン戦を経る必要があるため、開幕までに最低1カ月の準備期間を想定しているという。
球音は、いつになったら戻ってくるのか。
米国の野球ファンのだれもが、無人の観客席に響く球音を待っているわけではない。
毎日、当たり前すぎて、少し胸焼けするように感じていた、ホットドッグやポップコーンの匂いが、今や懐かしい。