酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
プロ野球最強投手を番付にすると。
岩瀬仁紀が関脇、現役最上位は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/03/23 11:40
現役時代、前人未到の1000試合登板を成し遂げた岩瀬仁紀。救援ひと筋で球史に残した成績は偉大なものだ。
記録で見た最強投手番付、横綱は?
左腕の横綱は言わずと知れた金田正一(400ポイント)。昨年10月に惜しくも世を去ったが、400勝はアンタッチャブルだ。セーブもホールドもない時代だったが、横綱の正位は小揺るぎもしない。
金田ですごいのは1951年から64年まで続いた14年連続20勝だろう。
これに対する右腕横綱は阪急のエース米田哲也(351ポイント)。金田正一より5歳下で、「ガソリンタンク」の異名をとったスタミナ抜群の投手である。626先発はNPB記録で、米田はキャリア晩年には阪神、近鉄で過ごして2セーブを挙げている。
両大関の鈴木啓示(318ポイント)、小山正明(320ポイント)も昭和の時代の大投手だ。先発完投型の大エースだった。
救援の岩瀬、先発完投の別所が関脇。
一方で左腕の関脇には、2018年まで現役だった岩瀬仁紀が入ってくる。こちらもアンタッチャブルな史上最多セーブ記録の持ち主。岩瀬は82ホールドも記録しているので、セーブとホールドだけで244.5ポイント、これに勝利の59を足して303.5ポイントで関脇になった。投手史上初の1000試合登板も光っている。
右腕の関脇は戦中から昭和30年代まで南海、巨人で投げた別所毅彦(310ポイント)。1947年には47完投のNPB記録を残している。
生涯先発1試合、完投0の岩瀬と、ミスター完投ともいうべき別所。両関脇は好対照なピッチャーのそろい踏みとなった。
小結は左腕が江夏豊。阪神時代の1968年にはシーズン401奪三振のNPB記録を樹立したパワーピッチャーだったが、南海に移籍後に野村克也監督のもとクローザーに転身し、最多セーブ6回。合計302.5ポイントである。
一方で右腕は阪急の山田久志(305.5ポイント)。江夏とは同じ1948年生まれの同級生である。身体を振り子のように揺らしてググっと沈み込んで投げるサブマリンは本当に美しかった。今年のオリックスキャンプでも投手陣を指導していた。同じ東北出身のロッテ、佐々木朗希を励ます姿も報道された。