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青山敏弘らも認める広島の新8番。
「川辺駿は、こんなもんじゃない」
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/03/19 11:30
今季からサンフレッチェの「8番」を背負う川辺駿。ボランチでコンビを組むベテラン青山敏弘からも信頼を寄せられている。
フィジカルの充実と責任感。
こうしたステップを経たからこそ、指揮官は冒頭のコメントの通り、今季のプレーには驚かないし、より高いレベルの期待を寄せる。
「どちらかというと、攻撃のためにエネルギーを取っておきたいという選手でした。それを守備に使うことをいとわなくなり、守備で使ったとしても攻撃にエネルギーを使えるくらい、フィジカルコンディションも上がっている。いまの高い意識で1年間続けることができれば、本当に大きなチームの柱になると思っています。まだ始まったばかりなので、2試合だけでなく、続けてほしい。年間を通して続けることが、彼のレベルを押し上げていくことになるでしょう」
城福監督と同時に就任した池田誠剛フィジカルコーチも、川辺のフィジカル面の充実ぶりを実感している。そこには、チーム全体で取り組んできた股関節の機能性向上などの成果に加え、別の要素も好影響をもたらしているとみる。
「責任感でしょう。いままでは『ここは戻らなくてもいいかな』という場面で、『戻らなければいけないんだ』と、自分で線引きせず、負荷をかけたいところで負荷をかけ切れている」
川辺自身も「やっぱり責任感は増しますし、気を抜いたプレーはできない」と語る。その理由は、ユニフォームを見れば一目瞭然だろう。
森崎和幸が背負ってきた「8」。
今季、背番号が8に変わった。広島の8番といえば、'01年から'18年までの長きにわたって森崎和幸がつけていた番号。広島一筋でプレーし、優れた戦術眼や正確な技術などを武器に3回のJ1リーグ制覇にも貢献した名ボランチは、川辺と同じく広島市出身で、広島ユースで成長してプロになった、クラブのレジェンドの1人だ。
'18年限りで現役を引退し、現在は広島のクラブ・リレーションズ・マネージャーを務める森崎氏から、川辺は8番を受け継いでほしい思いを直接、告げられている。昨季は誰もつけなかった8番の歴史は、開幕からの2試合で素晴らしい再スタートを切った。