ラグビーPRESSBACK NUMBER
コロナ禍でもエディー劇場は健在。
イングランドの進化と契約延長の是非。
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byGetty Images
posted2020/03/19 11:50
新型コロナウイルスの影響で大会が中断されたシックスネーションズ。エディー・ジョーンズ率いるイングランドは3勝1敗と、優勝の可能性を残している。
小競り合い、危険なタックル……。
黒星スタートとなったイングランドだが、その後スコットランド、アイルランド、ウェールズを倒し、延期となった最終節のイタリア戦を前に、3勝1敗と優勝への望みを繋いだ。だが、ここでまた妙な形で注目を集めてしまった。
イングランドのジョー・マーラーが、試合中の小競り合いのなか、ウェールズのアラン・ウィン・ジョーンズの股間を触り、この映像がテレビ放送、ソーシャルメディア上で大きく広がる。しかし、審判はこの一件に気づかず、TMO(テレビ・マッチ・オフィシャル)からの助言もなく、アラン・ウィン・ジョーンズは試合後の会見で、マーラーは処分を受けるべきだと抗議。
またこの試合では、イングランドのマヌ・トゥイランギの、ウェールズのジョージ・ノースへのタックルが危険なプレーと判定され、レッドカードの判定が下った。
判定に激高、タブーである審判批判も。
この判定に納得がいかないジョーンズ監督は、試合後の記者会見で審判を痛烈に批判。ラグビー界では大きなタブーとされる審判批判に対し、大会主催者やワールドラグビーから何かしらの処分が下るか、注目を集めた。公式な処分は免れたものの、同監督はイングランド・ラグビー協会から厳重注意を受けることに。同時に、協会のビル・スウィーニーCEOが審判に謝罪し、この一件は決着した。
試合翌週に行われた懲罰委員会では、危険なタックルで退場となったトゥイランギには4週間、相手の股間を触ったマーラーには10週間の出場停止処分が下った。これに対し、同節のスコットランド戦で、相手の顔面を殴ったフランスのモハメド・アウアスの出場停止処分は、3週間。
出場停止期間はワールドラグビーが定めた規定に沿った形で決定されるが、その規定自体の妥当性を考えさせられる懲罰委員会となった。