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コロナ禍でもエディー劇場は健在。
イングランドの進化と契約延長の是非。
posted2020/03/19 11:50
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
世界中で拡散が続く新型コロナウイルスと、その感染拡大への対応として大規模イベントの中止・延期が次々と決定される、2020年冬。欧州ラグビーの最高峰、シックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)もその例外ではない。
今大会では、2月から3月にかけて予定されていた15試合中、4試合が延期となり、予定されていた大会期間を終えた。
大会主催者は、試合は中止ではなく延期であることを強調するが、現在のところその日程は、「今年の秋」、とまでしか決まっておらず、試合の再手配の実現自体を疑問視する声もある。
こうして、従来の大会日程中には順位すら決定しなかった今年のシックスネーションズだが、欧州のラグビー界を沸かせる話題だけは、今年も健在だ。
若きフランスに敗れ、エディー劇場は賑やか。
“レ・ブルー”の愛称で知られるフランス代表は、自国開催となる2023年W杯に向け、大胆な世代交代を行った新チームで今大会に挑んだ。イングランドとの開幕戦前の代表合宿には、初招集となる19選手を含む42選手が招集され、その平均年齢は24歳。
対するイングランドのエディー・ジョーンズ監督は、開幕戦前の記者会見でフランスのメンバーについて聞かれると、「テストマッチがどういうものだか、我々が教えてあげましょう。徹底的に叩き潰しにいきます」、とメディアを煽り、伝統の一戦へ向けたビルドアップに一役買う。
しかし、試合はミスの目立つイングランドに対し、奔放にボールを動かす伝統的なフランスラグビーのスタイルが機能し、24-17でフランスに軍配が上がる。フランスは、23歳のSHアントワンヌ・デュポン、20歳のSOロマン・ヌタマックが絶妙なゲームコントロールを見せ、ホームでの開幕戦で快勝を挙げた。
辛辣なイングランドのメディアは、試合前のジョーンズ監督のコメントや、試合でのパフォーマンスを厳しい論調で批判。更には、代表監督として次のW杯までの契約延長の是非についての議論にまで発展。1試合負けただけで大騒ぎとなるのはイングランド代表の常であり、多くの観衆を巻き込む「エディー劇場」は、今年も賑やかだ。