フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
クリス・リードを元コーチが悼む。
「彼は日本代表を誇りにしていた」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byJamie Squire/Getty Images
posted2020/03/18 15:30
2018年、村元哉中(左)とのペアで平昌五輪に出場したクリス・リード。引退し、指導者としての道を歩みはじめたばかりだった。
アイスダンサーには不可欠な華やかさがあった。
何度も怪我をして、結果が思うように出ない時期もあったけれど、ソチと平昌の2度のオリンピックでは団体競技に出場して日本チームを支え続けた。
クリスはアメリカ人の父と日本人の母を持ち、アメリカ生まれのアメリカ育ち。185センチの長身で、アイスダンサーには不可欠な華やかさがあった。
もともと日本語はあまり得意ではなかったけれど、それでも日本代表選手として一生懸命練習して、取材にも日本語で答えるようになっていった。
現在はコーチであり振付師でもある姉のキャシーのほか、妹のアリソンもアイスダンサーで現在リトアニア代表として国際大会に出場している。
セルゲイ・グリンコフも心臓発作で……。
クリス急逝の知らせを聞いて、デジャブのように咄嗟に心に浮かんだのはロシアのペアスケーター、セルゲイ・グリンコフのことである。
パートナーで後に妻となったエカテリナ・ゴルデーワと1988年と1994年の2度のオリンピックで金メダルを手にし、1995年に28歳でやはり心臓発作で急逝した。
全く病気の兆候などなく、練習中にあっという間に亡くなったと聞いている。
クリスもセルゲイも、リフトなども要求されるカップル競技において、酷使した身体への負担が原因のひとつだったのだろうかと思うと、心が痛む。
2014年から2018年夏の村元とのコンビ解消まで、彼の指導にあたったマリナ・ズエワコーチが、筆者の依頼に急遽応じて、日本のファンのためにクリスとの思い出をメッセージに託してくれた。