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就職活動で体育会系は本当に得か。
人事部へ、採用のススメと注意点。
posted2020/03/20 11:30
text by
常見陽平Yohei Tsunemi
photograph by
AFLO
ここ数年、体育会系に対する社会の風当たりは強い。コロナウイルス問題で、五輪が中止・延期になるのかに注目が集まる中、すっかり忘れている人も多いかもしれないが、ここ数年、たしかに「体育会系」の不祥事はよく報道されていた。
日大アメフト部の危険タックル問題、慶応大アメフト部の不適切な行為問題(風呂場の覗きだと報じられている)、さらにはスポーツ全体においても体操におけるパワハラ疑惑、ボクシング連盟やテコンドー協会の騒動など、あげだすときりがない。
生徒も教員もともに追い詰められるブラック部活動問題や、小学校の運動会における危険な組体操問題も広義では体育会系問題だと言える。
体育会系は日本の縮図か。
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「体育会」はよく「日本社会の縮図」だと言われる。ちょうど最近『体育会系 日本を蝕む病』(サンドラ・へフェリン 光文社新書)が発売された。日本を愛する日独ハーフの作家による渾身の一作である。日本社会がいかに「体育会系」的な価値観に毒されているかを、パワハラ・セクハラ、忖度など様々な側面から斬っている。
今年で3歳になる娘を育てる身としてもなかなか衝撃を受けた本である。娘を日本の学校に入れたくなくなった。運動会に部活動、さらには茶髪証明書などなど、日本の学校は生き地獄ではないか。
自分自身も、会社員をやめる38歳くらいまで、なぜ生きづらかったのか、理由がわかった気がする。上意下達的で、理不尽で、同調圧力に満ちた世界は苦手だった。学校やこれまで勤務していた企業の同世代が出世しており、社長、役員、部長などになり始めている。尊敬するような、よくやるなと思うような、複雑な心境になる。
たったひとつ確かなことがあるとするのならば「君は器用だ」ということだろうか。私には無理だ。