球体とリズムBACK NUMBER
マンUにやっと現れたアイドル候補。
B・フェルナンデスの創造性と人情。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/13 19:00
マンチェスターダービーでもいい働きを見せたブルーノ・フェルナンデス。ユナイテッドの新たなアイドルとなるか。
セリエBから始まったプロキャリア。
逆にルーニーやスールシャール監督は、昨季の全公式戦で32得点を記録したフェルナンデスの高い得点力と創造性、熱い闘志がスコールズに通じると見ているようだ。
ポルト郊外に生を受けたフェルナンデスは、ポルトガルのエリート選手が歩む道を辿ってはいない。
17歳の時、イタリアのノバーラへ移り、プロとしての第一歩をセリエBで刻んでいる。ポルトガルの若者ならば、ベンフィカやポルトといった国内の名門への移籍を模索するところだ。
しかし守備の伝統を持つカルチョの国で多角的に才能を伸ばすことを選択した彼は、そこからウディネーゼ、サンプドリアとステップアップ。2017年夏に母国のビッグ3のひとつ、スポルティングに加入し、一年目からMFにして2桁得点をマークし、2年目の途中から腕章を巻き始めた。
負傷中のポグバが戻ってくれば……。
情に厚いリーダーはユナイテッドへ移籍する際、インタビューでスポルティングやそのファンに対してコメントを求められると、感極まって涙を流している。
人懐こくて感情豊かなポルトガル人らしいフェルナンデスは、映像を見るかぎり、新天地の仲間たちとも打ち解けているようだ。フレッジとは数年来のチームメイトのように呼吸を合わせ、シティ戦の終盤には気難しそうなマルシャルと談笑する姿も見られた。
ここに負傷離脱中のポール・ポグバが戻ってくれば、赤い悪魔は欧州屈指の中盤を構成することになるかもしれない。
気まぐれなそのフランス代表MFは不要だと主張する人もいるが、タイトルを狙える陣容が揃ったと感じれば、ポグバもその気になるだろう。「クレバーなフェルナンデスなら、誰とでも共存できるはずだ」とスールシャール監督も太鼓判を押す。