球体とリズムBACK NUMBER
マンUにやっと現れたアイドル候補。
B・フェルナンデスの創造性と人情。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/03/13 19:00
マンチェスターダービーでもいい働きを見せたブルーノ・フェルナンデス。ユナイテッドの新たなアイドルとなるか。
10年ぶりとなるリーグ戦での2勝。
後半にはシティのめまぐるしいパスワークと果敢な反撃に晒されたものの、フェルナンデスは自らの献身的な守備だけでなく、周囲を的確に動かして無失点に寄与。終了間際にはスコット・マクトミネイが追加点を奪い、ユナイテッドが本拠地でシティを2-0で下した。
およそ12年前にアブダビの王族が買収したシティは、この10年でマンチェスターの勢力図を塗り替えた。かつての盟主ユナイテッドはその間、リーグ戦のホームゲームで二度しかシティに勝てず、ペップ・グアルディオラがライバルの指揮を執り始めてからは全敗していた。
しかしこの勝利により、ユナイテッドは2009-10シーズン以来、10年ぶりにリーグ戦でシティに2戦2勝。その中心にいたのは、まぎれもなく、約ひと月前に加わったばかりの背番号18だった。
スールシャールもスコールズも称賛。
試合後の会見では、「彼(フェルナンデス)がチーム全体にエネルギーをもたらしているように見えますが?」と尋ねられたスールシャール監督が、次のように返答している。
「その通り。彼はすべてを持っている。地に足をつけてハードワークを続け、献身性と意欲だけでなく、極めて特別な才能もある。加えて、ミスをするかもしれない状況でリスクを取る勇気も」
こうした称賛は至るところから聞こえてくる。クラブ史上最高のMFのひとりに数えられるレジェンド、ポール・スコールズは引退後、舌鋒鋭い批評家として知られるが、この新戦力については「センセーショナルだ」とクラブ・ブルージュとのヨーロッパリーグ・ラウンド32第2戦(5-0の大勝)の後、『BTスポーツ』に話した。
「生気を失っていた攻撃陣を蘇らせてくれた。エリック・カントナやウェイン・ルーニーのように、ファンのアイドルになりうる存在だ」